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はじめまして。今月大学を卒業する者です。 ダイスヤマグチさんにお聞きしたいことがあります。私は8月からATCになるため...

Question

はじめまして。今月大学を卒業する者です。
ダイスヤマグチさんにお聞きしたいことがあります。私は8月からATCになるために留学をします。最終的な目標はスパーズで働くことです。何故スパーズかというと、好きなチームという事もありますが、日本が目指すべきチームだと思うからです。
そこで、ダイスヤマグチさんがスパーズで働くに至るまでの経緯や取り組んだ事などを教えていだだけたらと思います。
ここで質問するような事ではありませんが、ご回答いただけたら幸いです。

Answer
ダイス・ヤマグチ

ダイス・ヤマグチ

アスレティックトレーナー

はじめまして。質問ありがとうございます!
8月からATCになるための留学ですね。楽しみですね!!!
僕が渡米したのはもう16年ほど前になりますが、日本を出発する時の気持ちの高ぶりは鮮明に覚えています。何もかもが新しくて新鮮で楽しかったなー。

ついつい思い出に浸ってしまいますね。
”スパーズ”で働くことが目標、ということですが、かなりスペシフィックにきましたね!
自分がいたチームをそこまで評価して頂けているという事で、本当に嬉しいです。
ではスパーズで働くまでの経緯についてですが、まず下にある僕の経歴を見てください。

2001年夏ー2005年冬
インディアナ州立大学入学、卒業

2005年夏ー2006年夏
NATA Indianapolis Convention

○ ボランティア
NFL Indianapolis Colts
○ ボランティア
NBA Indiana Pacers
○ シーズンインターン
2006年夏ー2007年夏
ペンシルバニア州カリフォルニア大学大学院
2007年夏
NFL Philadelphia Eagles
○ 夏期インターン
2007年夏ー2014年夏
NBA San Antonio Spurs

僕がアメリカに行ったのも、やはりNBAで働きたいという思いがあったからでした。
どこのチームがいいかまでは明確ではありませんでしたが、NBAへの想いは非常に強かったと思います。

プロに入るには勉強はもちろんですが、もしかするとそれ以上に諦めない気持ち、経験、コネクション、そして運が必要になると思っています。

僕の場合は大学4年の時にたまたまNational Athletic Trainers’ Associationのコンベンションがインディアナポリスであり、何かのきっかけになればとボランティアでコンベンションの準備に携わったのが転機となりました。

コンベンション前日に他のATCボランティア数名と一緒に座って書類を用意していた時のことです。隣の人の良さそうな中年の男性と意気投合し、あーだこーだとたわいもない話をしながらワイワイと盛り上がっていました。彼がトイレへと席を立った時に横にいた女性に「あの人面白い方だね。どこのATCだろう。」と話すと「彼が誰とも知らないで話していたの?インディアナポリス・コルツのヘッドアスレティックトレーナーのハンター・スミスよ。」

「WOW!!!」

びっくりしながら彼が戻ってくるのを見計らってコルツのトレーニングキャンプでボランティアとして働かせてくれないかと申し出たところ、すんなりとOKをくれました。

実はその数ヶ月前にコルツにメールを送って同様の申し出を出していたのですが、直接アスレティック・トレーナーに繋がる方法がわからず返事もこないままでした。こんなちょっとした偶然のおかげで僕にはチャンスが訪れるとは。。。「動いてみるもんだなぁ。」と信じられない出来事に僕の興奮はしばらく冷めなかったのを覚えています。

余談ですが、その年の夏にコルツは日本での試合が決まっていたので「お前も通訳としてこれるように聞いてみよう」という誘いまで頂きました。結局チームの運営サイドが通訳は決めていたとの事で残念ながら日本までチームと帯同することは無かったのですが、縁というものはどこからやってくるかわからないと感じた時でした。

もしかしたら「NBAではなくNFL?」と思われるかもしれません。しかし、選手の多いNFLやMLBではトレーニングキャンプ時に多くの人手が必要となるのでアスレティック・トレーナーのインターンやボランティアの募集がある一方で、NBAではトレーニングキャンプでも選手の数が20名前後というくらい少ないのでそこまで多くのチームがインターンを募集しないのです。

NBAに行ける可能性が低いのであればとりあえずプロチームで働くことからと思い、たどり着いたのがNFLでのボランティアでした。それまでに大学で学んで来た事を初めて外の世界で、しかもプロの世界で活かせる機会を得たのは僕にとって本当に身になる経験となりました。もちろんボランティアだったので選手の身体を触ってケアをさせてもらうという事はありませんでしたが、キャンプの準備から選手のドリンク作り、簡単な怪我の応急処置など基本的な事を行うだけでも普段とは違う環境で仕事ができるというのは学びが多かったです。

また、僕が通っていたインディアナ州立大学から”プロフェッショナリズム”というものを叩き込まれていたのが良かったのだと初めて感じれた時でもありました。

”プロフェッショナリズム”とは、簡単にいうと”プロらしい振る舞い方”です。アスレティック・トレーナーというヘルスケアのプロとしての身だしなみについては本当に嫌になる程大学で教え込まれました。常に綺麗な服装で、シャツはズボンの中に入れる。仕事中はネームタグ(バッジ)を常につけて、治療用テーブルの上に腰掛けたりはしない。仕事はテキパキと、無駄話をせず、仕事の前後はきちんと部屋を掃除する。もちろん時間は厳守。勉強もしっかりする。。。などなどなど、”自由の国”アメリカをイメージしていた僕には自分が通っていた日本の高校よりもずっと厳しい大学のカリキュラムにうんざりしていた事もあったくらいです。

でも、そのプロフェッショナリズムのおかげでコルツでのボランティアはうまく行き、夏のボランティアが終わった後もシーズン中の試合で働かせてもらう機会も得ることができました。
自分のその後に繋がる自信を得られる良い機会となったのです。

「ダイス、ペイサーズでのインターンに興味ある?」

と大学のプログラムディレクターが僕に声をかけてくれたのはそんなコルツでのボランティアが終わってすぐの事。

「Of Course!」

そんな美味しい話断るわけがない!と思いながら返事をした翌週に僕はNBAのインディアナ・ペイサーズでの面接に参加。面接では僕の他に数名候補者がいたようでしたが、見事合格することに。合格した大きな決め手は、”プロ(NFL)での経験がある”という事だったようです。

そこからはうまい具合に事が進んでくれました。
ペイサーズでのインターンでは自分に足りないものを見つけることができ、NBAで働くために必要な事を学びたいと大学院に進学。周りになんと言われようと(スポーツ心理学の先生にどういうわけか「あなたにプロスポーツで働けるわけがない」と言われた事も。)、大学院では「将来はNBAに」と言い続けていたところ教授の紹介でNFLのフィラデルフィア・イーグルスでのサマーインターンが決まりました。

イーグルスで必死に働いていたところ大学院のもう一人の教授から「遠い知人からではあるがサンアントニオ・スパーズが2軍チームを買収したところでアスレティックトレーナーを募集しているという話を聞いたから連絡してみれば?」と電話が。そこから2ヶ月ほどスパーズとのやりとりを繰り返して2軍チームのアスレティックトレーナーとして雇ってもらえる事が決定。その4年後には2軍での働きを認めてもらい、1軍へ。

スパーズが僕を雇うと決めた理由は、
「NBAを含めた数々のプロチームでの経験と、直前までいたフィラデルフィア・イーグルスのアスレティック・トレーナーから太鼓判をもらったから。」

もしインディアナポリスのコンベンションでボランティアをしていなかったら。プロフェッショナリズムを叩き込まれていなかったら。無理と言われてNBAを諦めていたら。スパーズが2軍を買収していなかったら。お世話になった教授達に出会っていなかったら。。。

考えればきりがありません。
もし生まれ変わってまた同じ道を進めるかと言われれば、無理だろうと思います。様々なタイミングと運が重なり合ってたどり着いた場所だったので。
ただ、同じ道ではなくともNBAで働けるチャンスはあるだろうとも思っています。
そのためには質問者さんのように明確な目標がある事。ただしその目標には固執しすぎずにその時その時に自分にとってベストな道を見出して行動に移す事。

今はNBAにも世界中から様々な分野を得意とする専門家が集まるようになってもいます。ATCという資格とそれ以外でどのような能力を持つ事がNBAで必要とされていて、それが自分の興味に合っているのかというのも見極める必要があると思います。

ざっくりではありますが、僕がどのようにしてスパーズまでたどり着けたのかを書かせていただきました。アメリカではたくさん楽しんで来てくださいね!
夢が叶うよう、応援しています。

また何かあれば連絡ください。
Good luck!

Dice Yamaguchi

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