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本当に役立つアジリティトレーニング【最終回:反応アジリティを高めよう】

こんにちは。東京都内でトレーナーとして活動しています、佐々部孝紀です。

前回の記事は 「第5回:筋力とパワーをアジリティにつなげる」 という内容で、以下のことをお伝えしました。

競技の練習自体がアジリティのトレーニングになりうる
ベースである筋力とパワーが高いほうがアジリティは高まる
筋力とパワーをアジリティに活かせない場合はアジリティのドリルが役に立つ

今回は最終回ということで、 第1回でもお話しした、競技に直接つながる「反応アジリティ」の高め方をお伝えします。

・反応アジリティ:認知機能(刺激に対して反応し、頭で判断する能力)も含むアジリティ

反応アジリティの重要性

よく現場でも、指をさした方向へ反応するようなドリル(いわゆる反応アジリティのトレーニング)がおこなわれることがあります。

しかし、実は試合で優れたパフォーマンスを発揮する選手は、そのような方向だけを指示されたときの反応アジリティではなく、より試合に近い情報を処理するような反応アジリティが優れていることが明らかとなっています(Young et al, 2011)。

この試合に近い情報とは、指による方向指示ではなく、スクリーンに映された仮想の相手選手の動きに対して反応するなどです。

また、テストによって測定できる反応アジリティもありますが、テストで考えられているシチュエーションはおそらくその競技のごく一部だけをきりとったようなもので、ひとつのテスト結果を高めるだけではすべてのシチュエーションでの反応アジリティをカバーできるとは限りません

そのため、実際に競技の中で良いパフォーマンスを発揮しようと思ったら、様々な種類の反応アジリティ(図の反応アジリティA,B,C)を発揮できなければなりません


※例えばバスケであれば
A…サイドステップで相手オフェンスのコースに入るような動き
B…ボールを持ってないときに相手ディフェンスを振り切る動き
C…ドリブル中に急激に方向転換をする能力

反応アジリティの高め方

反応アジリティCを高めようと思ったら、
①アジリティCを高める
②判断のスピードを高める
というふたつの方法があります。

ここで1番のトレーニング方法というのが「競技練習」なのです。

前回の記事で紹介した通り、「サッカーの練習+ウエイトトレーニングをおこなうことで、アジリティが向上した」というデータがあります。(この研究で向上したアジリティを「アジリティC」とします)

これは、サッカーにアジリティCのような動作が含まれていたためと考えられますが、おそらく競技中に発生する動きですので「判断」もともなっており、反応アジリティCも向上しているものと考えられます。

おそらく、競技の練習をすることで、同じく反応アジリティAも反応アジリティBも向上している可能性も高いです。

しかし、アジリティCのトレーニングをおこなっているだけでは、アジリティCしか向上しないでしょう。

つまり競技練習というのは、①アジリティも②判断のスピードも、そしてA~Cまでの様々な動作の能力を高めることができる、とても効率的なアジリティのトレーニングなのです

一方、競技練習では効率的に高めることができないのが、筋力やパワーであり、それがウエイトトレーニングおこなうべき理由なのです。(このあたりの考え方は、私のHPのブログを参考にしてください。)

 アスリートのためのトレーニング科学
【第7回】競技で得られる体力≠競技に必要な体力

練習・トレーニングの優先順位

前回の記事 でも書きましたが、競技に直接つながる反応アジリティを高めるための優先順位としては

Ⅰ.競技練習を一生懸命頑張る
Ⅱ.ウエイトトレーニングで筋力やパワーを向上させる
Ⅲ.ウエイトトレーニングで高めた筋力やパワーをアジリティにつなげるためのドリルをおこなう

以上のようになります。

Ⅲは図にもある通り、 Tテストプロアジリティ のようなテストに使われるような課題のトレーニングの他に、横方向への力発揮や、前後方向への力発揮を高める基本的なドリルも含まれます。

Tテスト

プロアジリティ

▼力発揮のトレーニング

しかしⅢに関してはさきほども述べた通り、アジリティCのトレーニングはアジリティCの向上にしかつながりません。

一方、競技練習やウエイトトレーニングでは、幅広い能力の向上が期待できます。競技練習では「技術」も高まりますし、ウエイトトレーニングではアジリティ以外にも「スピード」や「ジャンプ力」も高まります

そのためⅢの優先順位は低くなっていますが、私自身アジリティの専門家ですし、その重要性を否定するつもりはまったくありません。実際に現場で活用しているアジリティのドリル、トレーニングも数多くあります。

しかしながら、日本のスポーツ界においては、そもそも多くの選手の筋力・パワーが不足しているのが現状です。

逆に言えば、Ⅲのトレーニングをおこなうよりも、Ⅱのウエイトトレーニングをきちんとおこなったほうが、得られるメリットはとてつもなく大きなものになります

男子高校生でも適切なトレーニングをおこなえば、正しいフォームでのパラレルバックスクワットの最大挙上重量120kg(もしくは体重の1.7倍)程度は達成できるはずです。

実際、私が指導している高校バスケ部では、高校2年生で140㎏近く挙上する選手もいます。

これは決して実現不可能な数値ではなく、きちんとした指導者のもとでおこなえば達成できる数値です。(もちろん、競技の違い、体格などの要因によっては難しい人もいますが)

結局は基礎が大事

「アジリティを高めるための魔法のようなトレーニング」を求めて、この記事を読んでいただいた方には申し訳ありませんが、結局「近道なんてものはない」ということです。

「アジリティを高めるためのドリル」については、あえてここでは書きません。

まずは競技の練習をがんばりましょう。

反応アジリティを高めるためには、身体だけでなく、頭もフル回転することが大事です。

もちろん、ひとつひとつの動作を全力でおこなうこと。

そして、すべての身体能力のベースとなる、筋力やパワーを高めましょう

バスケのシュートをコーチから習うように、サッカーのドリブルを専門家から教えてもらうように、ウエイトトレーニングもトレーニング指導者から学びましょう。

自己流でやってきて、間違ったウエイトのフォームのせいで怪我をしてきたという選手を私は何人も見てきました。

「トレーナー」の中でも、ウエイトトレーニングの指導を得意としていない人もいますので、ウエイトトレーニングをおこなうときはトレーニング指導者から指導をうけましょう!

参考文献

VALIDITY AND RELIABILITY OF AGILITY TESTS IN JUNIOR AUSTRALIAN FOOTBALL PLAYERS
WARREN YOUNG, DAMIAN FARROW, DAVID PYNE,3WILLIAM MCGREGOR, AND TARA HANDKE
Journal of Strength and Conditioning Research, 2011, 25(12)/3399–3403