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本当に役立つアジリティトレーニング【第2回:間違ったアジリティトレーニング】

こんにちは。東京都内でトレーナーとして活動しています、佐々部孝紀です。

前回の記事において、「アジリティを理解する」という内容で、以下のことをお伝えしました。簡単におさらいしてみましょう。

1.アジリティは以下の4つの要素で構成される
・スピード
・身体の形態
・テクニック
・下半身の筋機能

2.認知・判断を伴う「反応アジリティ」と、認知・判断を伴わない「アジリティ」がある

今回は、現場でよくおこなわれている「間違ったアジリティトレーニング」についてご紹介しようと思います。

スポーツに必要な体力要素と、体力要素に合ったトレーニング

まず、トレーニングをおこなう際には①必要な体力要素の選択②その体力要素を向上させるトレーニング方法の選択(トレーニングプログラムの作成)をおこないます。

多くの場合、その「必要な体力要素」を測定できる体力測定の方法があり、トレーニングの効果がどの程度あったかを検討するために定期的に体力測定が実施されます。以下がその例です。

  • 筋力→スクワット最大挙上重量
  • ジャンプ力(パワー)→垂直跳び
  • スピード→20m走、50m走
  • 持久力→20mシャトルラン、1500m走

しかし、アジリティに限らず他の体力要素においても、この①②の段階での間違いがスポーツ現場ではよく起きています。

「必要な体力要素の選択」での間違い

例えば野球においては、筋力やパワーと持久力を比べると、明らかに筋力やパワーのほうが重要です。

しかしながら持久走の測定は頻繁におこなっているのにも関わらず、スクワットの挙上重量や垂直跳びの測定はあまりおこなっていない、というチームもあるのではないでしょうか?

「測定をおこなっていない≠重要視していない」というわけではないかもしれませんが、測定を頻繁におこなうものに比べたら、測定をおこなわない要素への選手の関心は低くなってしまうでしょう

「トレーニング方法の選択」での間違い

例えばスプリントスピードを向上させる手段として、足首に重りを巻いたダッシュをするとしましょう。

一見ターゲットとしているスプリントの動作に負荷がかかっているので効果がありそうですが、この負荷だと足を前に振り出す動作に負荷がかかりますよね。

しかしながらスプリントにおいては、短い時間で強く地面を蹴ることが重要であり、足首の重りではその部分への負荷はかかりません

トレーニングは「動作の見た目」ではなく、「力の発揮方向」「そもそもの力の高め方」を理解しなければ、求める効果は得られません。

そして、アジリティは体力要素の中でも①の間違いも②の間違いも頻発しやすいものなのです。

競技に必要なアジリティ

まず問題なのは、アジリティを測定するテストの多さです。前回の記事で挙げた反復横跳びやプロアジリティ、Tテストの他に、ジグザグ走、10m×5等、様々なものがあります。

「アジリティは大事だって聞いたぞ。ひとまず測定してみよう!」と意気込んで測定してみたテストが、実はその競技につながらない場合は多くあります。

例えば、卓球であれば10m×5のような長い距離のスプリント(ダッシュ)は競技中におこないませんよね?

どちらかというと反復横跳びのようなサイドステップでの動きが重要であると考えられます。

そして、10m×5のためのトレーニングをおこなったとしても、反復横跳びの能力はあまり向上しないであろうことは簡単に想像できます。それだったら反復横跳びのためのトレーニングをおこなったほうがいいですよね。

このことから、アジリティのトレーニング(10m×5)をおこなっているのにアジリティ(反復横跳び)が向上しない。

言い換えれば、「アジリティ(と思われるもの)が向上しても、競技パフォーマンスが向上しない」ということが起こりうるのです。

そのため、私はアジリティの専門家であるのですが「アジリティなんて能力は存在しない」と考えています。あるのは「サイドステップでの方向転換能力」であったり、「スプリントからの180度ターンの能力」「Tテストのような多方向への切り返し能力」なのです。

もう一度、あなたが高めようとしている能力(アジリティ)が、本当に競技に必要なものなのか、是非考えてみてください!

参考文献:

J. M. Sheppard & W. B. Young
Agility literature review: Classifications, training and testing
Journal of Sports Sciences, September 2006; 24(9): 919–932

Matt Brughelli, John Cronin, Greg Levin1 and Anis Chaouachi
Understanding Change of Direction Ability in Sport A Review of Resistance Training Studies
Sports Med 2008; 38 (12): 1045-1063