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本当のチームになれていますか?【新キャプテン育成塾vol.2】

この記事は2017.1.21に公開した記事に加筆・修正を加えたものです。

こんにちは、スポーツメンタルトレーニング指導士の河津です。

前回はキャプテンがチームを引っ張るための2つの魅力についてお話しました。

今回は、その前提となる「チーム」に関するお話をしていきたいと思います。

「チーム」とは何なのか?を知る。

サッカーをする子供

新しくチームリーダーになる皆さんに、一番はじめにしてもらいたいことは「チーム」とは何なのかを知るということです。

よく「チーム作り」と言いますが、「何がチームを作るのか」というチームの要素をよく知っていないのでは作れるものも作れません

今日はスポーツ心理学の分野でチームがどのように定義されているのか、解説していきたいと思います。

「群衆」「集団」「チーム」

人の集まりを表す言葉に「群衆」「集団」「チーム」があります。

3つのうち「群衆」は他の2つとは明確に違います。

「群衆」の定義

群衆は「単なる2人以上の人の集まり」と定義されています。

人の多い交差点

簡単な例を挙げると、渋谷スクランブル交差点の人混み、通勤ラッシュの電車の乗客などです。

特に何も目的なく全く関係ない人たちが、ただ同じ場所にいるというだけです。

「集団」の定義

集団の特徴には以下のものがあります。

  • 2人以上である
  • メンバーがお互いにコミュニケーションを取り合っている
  • 集団としての何らかの目的を持っている

学校の教室

集団の例としては、小・中・高校のクラスなどが挙げられます。

「チーム」の定義

そして「チーム」は集団がより高度に発達したものとして定義づけられます。

その特徴には以下のものがあります。

  • 2人以上である
  • メンバーがお互いにコミュニケーションを取り合っている

この2つは集団と共通です。

そして、集団と大きく異なるのは

  • 外部との境界線がはっきりしている
  • 集団の時よりも明確で価値のある目標がある
  • 目標を達成するための役割を割り振られている

という点です。

例えば「クラス対抗の運動会や球技大会」のときに

  • 他のクラスを対戦相手として意識して(外部との境界線)
  • 大会優勝のために(目的)
  • メンバーの適性をみて出場する競技を割り振ること(役割)

などが「チーム」の特徴としてわかりやすいと思います。

運動会のリレーで走る男子生徒

よりレベルの高い「チーム」の特徴

最低限、これらの特徴が備わっているものが「チーム」と呼べると思います。そしてチームの中でもよりレベルが高くなってくると......

  • メンバーが、それぞれの役割、長所、短所やチームの戦術、作戦などを共通認識として共有できている
  • 「おれたちは強い!」というように自分たちのチームに関する自信が高い

こういった特徴もみられてきます。これらは心理的な特徴ですが、チームでの活動時に直接的にメンバーの行動に影響を与える可能性があります。

グラウンドで集まるラグビー選手

強豪サッカーチームの監督が語る「いいチーム」

具体的な例を紹介します。

私が学生時代に福岡県のサッカー超強豪校の監督に「いいチームの特徴」についてインタビューを行ったときの話です。

「いいチームというのは互いのプレーの長所や短所を理解しあっています。例えば、ある選手の右足にボールがおさまったとしましょう。この選手は右足でボールを扱えば天下一品!とても良いプレーをする!と他の選手がわかっているのでその瞬間に一斉に攻撃的な動き出しができるんです!!

また、もしこの選手の左足にボールが収まってしまったら、この選手は左足だと途端にコントロールの精度が落ちるので、途端に今度は全員がフォローの動きに回ることができる!」

まさに選手が「自分たちのチームを知っていること」の重要性を感じさせるお話でした。

このような選手間のチームに関する共通認識をスポーツ心理学の分野では「チームメンタルモデル」と呼んでいます。

もうひとつ具体的な話として、こんな話もされていました......

「長年監督をやっていると、試合前のウォーミングアップの時点で勝てるかどうかわかってしまうんです。あーこれは負けるな~と思ったときはたいてい負けちゃいます。」

僕が「それはなぜわかるんですか?」と聴いたところ......

「相手の雰囲気にのまれてしまっているのが見えるからですね。相手が強いんじゃないかな?とか俺たち勝てるかな?とかそんな風に思ってしまっているのが見て取れるときは負けちゃいますね。」

このように答えてくれました。

個人競技にも言えることですが、自信があるのとないのとでは行動の選択やプレーの思い切りの良さが大きく変わってきます。もちろんチームにおいてもそれは変わりません。

サッカーの試合

自分たちが強い!と思っていた方が試合で思いっきりプレーできるし、逆に自分たちの強さに疑問があるようなら、プレーは小っちゃく守りに入るようなプレーになってしまいます。

監督の感じていたことはまさにこのことだったんですね。

このような、チームの自信のことを「集団効力感」といい、チームスポーツ研究ではとても重要視されている特徴です。

チームメンタルモデル」、「集団効力感」、このふたつの心理的な特徴も意識してチーム作りをすることができれば、より強いチームを目指せるのではないでしょうか?

本当にチームになれていますか?

私が現場でいろいろなチームを見てきて、実ははじめの方に書いた「チームの定義」ですら満たしていない集団が多いような印象を持っています。

チームを強くしようと考えているリーダーの皆さん、本当に自分のチームがチームであるのかどうか?を考えてみると良いでしょう。まずはそこからやってみましょう!

チームとはどういうものかが分かったところで、次回は「より高度なチームになっていくために具体的に何ができるか?」ということを考えていきましょう!

▼次回記事はこちら

<参考文献>

スポーツ社会心理学
北大路書房,2007年,ハガー・ハヅィザランティス 著

コンピテンシーとチーム・マネジメントの心理学.
朝倉書店,2009年,山口裕幸 編

チームワークの心理学―より良い集団を目指して―
サイエンス社,2008年,山口裕幸 著