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【肩・肘・手首を痛めない】ベンチプレスのやり方・フォーム完全ガイド

こんにちは、フィジカルトレーナーとして活動しています、「片井忠(かたいただし)」です。

ウェイトトレーニングの基本種目として、最も人気の種目といっても過言ではない「ベンチプレス」。読者の皆さんでも取り入れている方は多いと思います。

トレーニング用のベンチに仰向けで寝転がった状態で、バーベルを上げるというシンプルなトレーニングですが、デッドリフトやスクワットと並び、トレーニングの「ビッグ3」と呼ばれ、スポーツ競技はもちろん、見せる(魅せる)競技であるボディビル、果ては健康な身体作りのためなど、あらゆる目的で取り入れられる種目です。

ですが、実際に正しいフォームや、やり方(回数やセット数)で出来ていると、自信を持って言える人はどのくらいいるでしょうか?

間違ったフォームで挑戦して、肩や肘を痛めてしまった人はいませんか?

ベンチプレスに限らず、どんな有効なトレーニングでも正しいやり方でなければ、ケガをする危険が生まれてしまいます。

そこで、今回はソフトバンクホークスの選手の指導歴もある私から、ベンチプレスのやり方やフォームの注意点肩や肘などをケガしないためのポイント重い重量をあげるコツなど、「ベンチプレス攻略ガイド」というテーマでお話ししたいと思います。

  • ベンチプレスを取り入れたのはいいけど、フォームが正しいかわからない。
  • どんどん伸びていた重量の記録が停滞してきた。
  • 最近ベンチプレスをするときに肩が痛い

この記事ではこういった初心者から上級者までの悩みを全て解決したいと思います。今後ベンチプレスで迷ったことがあれば、いつでも参考にしてください。

では早速本編に入っていきましょう!

ケガを防ぐベンチプレスの正しいフォームとやり方・目次

  • ベンチプレスで鍛えられる筋肉・効果
  • ベンチプレスのやり方
  • 目的別のベンチプレスメニュー
  • ベンチプレスのフォーム
  • ベンチプレスの呼吸
  • ベンチプレスの種類
  • ベンチプレスとダンベルプレスの違い
  • どのくらいの重さを上げれば初心者?上級者?
  • 肩が痛くなる人はどうすればいい?
  • 腕(上腕三頭筋)が先に疲れる人はどうすればいい?
  • ベンチプレスを強化するための補助種目
  • 片方だけ上がらないときの解決策・コツ
  • 100kg上げるまでの期間の目安

ベンチプレスで鍛えられる筋肉・効果

まずはベンチプレスで鍛えられる筋肉や、鍛えた場合の効果について解説したいと思います。

ベンチプレスで鍛えられる筋肉は主に以下の3つです。

1.大胸筋(だいきょうきん)・胸
2.三角筋(さんかくきん)前部・肩パッドのように肩を覆う筋肉の前部
3.上腕三頭筋(じょうわんさんとうきん)・二の腕、力こぶにならない方

特に大胸筋に大きな負荷がかかります。

この3つは腕の回転運動、つまり「後ろから前へ腕を振る・突き出す」という動きをするときに働く筋肉です。

陸上のやり投げや、砲丸投げといった投てき種目はもちろん、ボクシングや柔道といった格闘技、テニスのスマッシュやフォアハンドストローク、バレーボールのスパイクなど、ほぼすべてのスポーツで大きな働きをします。

ベンチプレスをやっておいて損はない、ということですね。

見せる身体を作るボディメイクの観点では、胸を分厚くし迫力を出すために必要不可欠なトレーニングです。

日常生活では、重いものを抱えるといった場面で活躍します。

ベンチプレスで前鋸筋は鍛えられるのか?

書籍やウェブサイトによっては、正面から見たときに脇の下あたりに位置する「前鋸筋(ぜんきょきん)」も鍛えることができると書かれているものもありますが、私の考えではこれは当てはまらないと思います。

もともと前鋸筋は肩甲骨を外転する(外に開く)ための筋肉なので、ベンチプレスでこの筋肉を鍛えようと思うと、肩が前に出た(背中がまるまって胸が張れない)フォームになってしまいます。

このように肩が前に出たフォームになると、肩をケガしてしまう危険が高くなってしまうほか、ベンチプレスを取り入れる大きな目的のひとつである、大胸筋へ負荷がかからないようになるので、なんのために取り入れているのか目的を見失ってしまいます……。

基本は先ほど解説した3つの筋肉が対象となるトレーニングだと考えてください。

では、鍛えられる筋肉や効果がわかったところで、ベンチプレスの正しいやり方を解説していきましょう!

ベンチプレスの正しいやり方(重量・回数・セット数など)

重量の設定

どのトレーニングを取り入れるときにも言えることですが、初心者はとにかく軽い重量からスタートしましょう。

確実に上げられる重量で、正しいフォームを身につけ、身体や筋肉の動かし方を習慣化することが大切です。

フォームが固まらないうちから無理に重い重量を上げている人がいますが、ケガをしやすいだけでなく、後々の成長も止まってきます。

身体に負担をかけ、正しい身体の使い方ができなくなってしまうので、まずは正しいフォームで上げられる重量から挑戦してください。

ベンチプレスの場合、初心者はまずシャフトだけ(20キロ)を上げてみてください。


↑まずは軽い重量から

正しいフォームで扱えるようなら、男性は体重の3分の2前後女性は体重の3分の1前後の重さを目安にスタートしましょう。

また腕立て伏せができない場合でも、先にベンチプレスを取り入れるのも効果的です。

腕立て伏せは自重トレーニングのなかでは負荷が強い部類ですので、女性で腕立て伏せができないような方は、先にベンチプレスを取り入れて、大胸筋などを強化してもいいでしょう。

回数の設定

回数についてですが、最初はフォームを身につけるために10RM(10回は挙げられるけれど11回目は無理、という負荷)を基本に、筋肥大なら6〜12RM最大筋力アップなら3RMできる負荷で余裕を持って終れる重量を目安に1セットとしてください。これを3〜4セットを基本におこないましょう。

▼RMとは?

「あれ、回数少なくない?」と思われる方もいるかもしれませんが、私の経験則上、このくらいの回数の方がおすすめです。

ベンチプレスも前回のデッドリフトと同じく、多くの筋肉を使うため、最後の数回はフォームをキープするのが難しくなってきます。

正しいトレーニングを心がけるなら、1セットは高重量で低回数にしてみましょう。フォームを身につけた場合の目安は、6〜8RMで3〜4セットです。

筋肥大を目的とするなら、セットの間は1分ほどのインターバルにして取り組んでください。

▼インターバルとは?

目的別のベンチプレスメニュー

瞬発力を向上させるなら

空手やボクシングなどの格闘技の選手で、パンチ力の向上を目指す場合、瞬発力を上げることも必要になります。

そんなときは1RM(1回ギリギリ上げられる重量)の40~60%の負荷にして、切り返しを意識し、とにかくできるだけ高速でバーベルを上げ下げします。

1セットは10回としてもいいですし、6〜7秒で何回上げられるかを計測してもいいです。

これを基本は3セット。

セット間のインターバルは、十分に筋肉の疲労を回復させるために、3〜5分と長めに取りましょう!

筋持久力を向上させるなら

筋持久力をアップさせたいなら、負荷を1RMの50~60%に設定します。

スピードは高速でなくても大丈夫ですが、とにかく負荷が抜ける時間を作らないように、一定のベースで上げ下げしましょう。

20~25回を1セットとして、3セット。インターバルは短く20〜40秒にして、追い込みましょう!

ベンチプレスのフォーム

前置きが長くなりましたが、いよいよベンチプレスのフォームの解説です。ここからが一番重要なポイントですので、しっかりと目を通してください。

なお、実際のベンチプレスの動作にそってポイントなどを解説していきます。

ほとんどの方が動きはわかっていらっしゃると思いますが、一応参考としてこちらの動画もご覧ください。

寝転がる

安全にベンチプレスを始めるには、寝転がる位置も重要です。

ベンチプレスのラックによって変わりますが、基本はシャフトの真下に目がくるように寝転がってください。

そして、両足で地面を踏みしめて、両足・頭・背中・お尻の合計5点がベンチにしっかりついていることを感じましょう。(右足・左足・お尻・背中・頭)

アーチをつくる

この5点がしっかりとベンチとついていることを感じたら、次はベンチプレスをするときにもっとも重要なアーチを作ります。

胸を張って肩甲骨を寄せ、みぞおちの少し上の肋骨あたりが天井に向かって高くなるように身体の曲線(アーチ)をつくります。そうすることで肩が安定し、安全かつ、より効果の高いベンチプレスをおこなうことができます。

初心者の方はこのアーチの感覚が分からず、悩んでしまうかもしれません。

そんなときは、ベンチに寝転がった状態で両手をバンザイしてみましょう。

こうすると肩甲骨が下がって、内側に寄るのがわかるはずです。

私がクライアントの方に指導する際は、さらに上から肘を押します。そうすることで、皆さん例外なくアーチの感覚を理解してくださるので、初心者の方や、アーチの感覚が掴めないという方はぜひ試してみてください!

首を曲げて、頭を浮かせない

ちなみにジムなどでベンチプレスをするときに、顎を引いて頭を浮かせる人を見かけますが、首に力を入れることで胸鎖関節(のど元の鎖骨の付け根の部分)がロックされたような状態になり、上体を動かしづらくなってしまいます。

また、首を浮かせるようにすると背中が丸くなり、胸を張れなくこともあります。

肩や首のケガを避けるため、ベンチプレスをする際には、しっかりと頭をベンチにつけておくようにしてください。

お尻をベンチから離さない

お尻をベンチから浮かせた状態でトレーニングしている方も見かけますが、これも要注意です。

お尻をベンチから離してブリッジした状態になってしまうと、胸から腕にかけての部分よりも、身体全体を使って押し上げるような形になるので、ベンチプレスの目的である上半身のトレーニングになりません。

全身の力が使え、また胸の可動域が狭くなるので、重い重量が上がるようになりますが、パワーリフトの競技なら成功になりませんし、先ほども書いたようにトレーニングの効果も低くなります。

重い重量を上げるにしても、正しいフォームでなければ(ルールから外れても)意味がないので、必ずお尻はベンチにつけた状態でトレーニングしましょう。

シャフト・バーベルの握る手幅

次にバーベルのシャフトを握っていきます。

このときに重要になるのが手の幅です。

正しい手の幅にするための手順を解説すると、まず胸のアーチをつくるためにバンザイし、そのまま腕を水平に広げます。

次にひじを90度に曲げます。そして、その延長線上の位置でシャフトを握りましょう。

これは「スタンダードグリップ」と呼ばれ、肩が回転するときに力学的に最も無駄がない(トルクが出る)ポジションと言われています。

トップクラスのパワーリフターは、ほとんどがこの手幅を採用しています。

これよりも拳ひとつ分ほど手幅を広げた「ワイドグリップ」では、はじめはスタンダードグリップよりも重い重量を上げやすいですが、力学的に無理があるので必ず頭打ちになります。

最初にワイドグリップを採用したパワーリフターも、必ずこのスタンダードグリップに戻ってくるので、特に目的のない方や、最終的に重量を伸ばしたい方は最初からスタンダードグリップを採用しておくことをおすすめします。

シャフト・バーベルの握り方

握り方は順手(クローズドグリップ)がいいでしょう。

シャフトを親指の付け根の部分、手相で言うと生命線の上に乗せるように握りこみます。

そうすると、中指より少し外側、ちょうど薬指のあたりで一番重さを感じるはずです。

この握り方なら力のかかるポイントが、ちょうど肘の延長線上にあたるので、力が伝わりやすく、大胸筋が働きやすくなります

逆に、中指より内側に一番重さを感じるポイントがあると、前腕が開いた状態になり、大胸筋にかかるはずの負荷が逃げてしまいます。

時々親指を外す「サムレスグリップ」を取り入れている方もいますが、この握り方ですと、バーベルを扱うときに手首が倒れてしまう人が出てきます。

これは手首を痛めるもとで、長期的に見ると手首に大きなできもののようなものができる「ガングリオン(良性腫瘍)」の原因にもなります。

もちろんサムレスグリップでも手首が倒れないという人はそのままでもいいのですが、親指の位置ひとつでケガを未然に防ぐことができるので、初めてベンチプレスに取り組むという人は、親指をかけて握ることをおすすめします。

バーベルを上げる

いよいよバーベルを上げていきます。

まずシャフトを握った状態から、ひじを伸ばしてバーベルをラックから上げます。(このときに補助者がいると安全ですね)

そしてアーチを保ったまま、乳頭のあたりをめがけてシャフトをゆっくり下ろし、胸に触れたら上げましょう。

ポイントは胸に重さが乗った状態で休んだり、力を抜いてバウンドさせたりせず、胸に触れたタイミングですぐに上げることです。

バーベルの軌道は、まっすぐに上げ下げする感覚でOK。

ただ実際には、胸からほんの少しだけ顎の方へ向かって上がっています。(肩関節の動きとして、自然とそうなります)

極端に意識するとフォームを崩してしまうので、まっすぐ押し上げる感覚を持つようにしてください。

また動作中は常に、胸のアーチを維持しておくようにしましょう。これができればベンチプレスのフォームはマスターしたも同然です。

ベンチプレスの呼吸

ベンチプレスも他のトレーニングと同じように、最初のうちは「上げるときに吐く」「下ろすときに吸う」のが基本です。

ただ、この呼吸法だと高重量を上げづらいという問題もあります。

そこで、ある程度のトレーニングの経験があり、負荷を大きくする場合には「怒責(どせき)」を使ってみましょう。

  • 息を大きく吸って、止める
  • バーベルを上げきったら、そこで息を吐く
  • 下ろしながら吸う

今まで「怒責」という言葉を知らなかった人でも、高重量を扱っている人は自然とこの方法をとっていると思います。

この怒責は血圧が一気に高まるので、「血管が切れたりすることがあるのでは?」と心配されるかもしれませんが、しっかりとトレーニング経験があれば、怒責によって「くも膜下出血などになった」という事例は聞いたことがありません。(※ただし、「高血圧」と診断された方には厳禁です。)

また、怒責を長年続けていると、心臓が肥大する「心肥大」が起こり、息切れや疲労感といった症状が出る可能性もあるので、決して多用すべきではないことを頭に置いておきましょう。

ベンチプレスの種類と効果

ベンチプレスは細かく分ければいくつかの種類があります。それぞれの効果や取り入れるべき状況について簡単に紹介しましょう。

ナロウグリップ・ベンチプレス

「ナロウグリップ・ベンチプレス」とは、通常のベンチプレスよりも拳ひとつ分ほど手幅を狭めた状態でシャフトを握り、動作するトレーニングです。

手幅を狭めることで、肘を曲げ伸ばしする角度が大きくなり、通常のベンチプレスのメインである大胸筋よりも、三角筋前部や上腕三頭筋に効果的なトレーニングとなります。

投てき種目や打撃系格闘技など、ひじの曲げ伸ばしが激しいスポーツの人は、スタンダードグリップのベンチプレスにプラスして取り入れることをおすすめします。

インクライン・ベンチプレス

ベンチの角度を少し起こし、上体が斜めになった姿勢でおこなう「インクライン・ベンチプレス」は、投てき種目の人にはぜひ取り入れてもらいたいトレーニングです。

たとえば砲丸投げの場合、身体の軸に対して肩の角度が42度になったとき、砲丸が最も遠くに飛ぶと言われています。

この理論にしたがって、身体と上腕の角度が138度になるようにインクラインをセットすれば、砲丸投げの筋肉の動かし方に、より近づけることができ、最も遠くに飛ばせる動きの時の身体の使い方を意識することもできます。


↑画像はイメージです

また、パンチを繰り出すときの姿勢も通常のベンチプレスより、インクラインの姿勢が近いので、打撃系格闘技の選手もトレーニングのバリュエーションに組み込んでみましょう。

デクライン・ベンチプレス

インクラインとは逆に、ベンチの頭の方を下げる「デクライン・ベンチプレス」もあります。

ボディメイク目的なら、胸の下の方の筋肉を目立たせたいという場合には効果的なトレーニング種目です。

ただ、通常のベンチプレスでも、胸のアーチをきちんとつくっていれば、自然とデクライン気味のフォームになっているはずです。

また、スポーツの場面で自分の身体の下方向に向かって強力な力が必要な動きは極端に限られます。スポーツのトレーニングとしてベンチプレスをするという場合には、優先度の高い種目ではないでしょう。

バーベルとダンベルでの違い

今回はベンチプレスとして一般的なバーベルを使った「バーベル・ベンチプレス」を解説していますが、ダンベルを使った「ダンベル・ベンチプレス」もあります。

このふたつの違いも解説しておきましょう。

手首や肩への負担が少なく、より大胸筋を刺激できる

まず、ダンベルの場合、手首や肩への負担が少ないのが特徴です。

バーベルを使うと、どうしても胸のところまでで止まってしまいますが、ダンベルはそれ以上にストレッチしたポジションまで動かすことができる、という違いがあります。

端的に言えば、バーベルを使う以上に、大胸筋に負荷を与えることができます。

反対に上腕三頭筋にはほとんど刺激がなくなるので、ベンチプレスとは身体の使い方がずいぶん違ってきます。

同じプレス系のトレーニングだからといって、ベンチプレスの補助種目として取り入れても、ベンチプレスの重量を伸ばすという観点では、あまり大きな効果は出ないでしょう……。

高重量が扱いにくい

ただ、左右の手にひとつずつ持つので、より姿勢を維持するための筋肉が必要となり、高重量は扱いづらいです。

バーベルで100キロを上げられても、ダンベル50キロをふたつ上げるのは難しいということですね!

ベンチプレスをするときに肩が痛い。どういった原因があり、どうしたら解決できる?

ここからはベンチプレスに関して、よく耳にする悩みについて回答したいと思います。自分に悩みがあったときや、友人、チームメイトが悩んでいる時に参考にしてください。

まず、ベンチプレスをするときに「肩が痛い」という人の原因と解決策についてです。

基本的にはフォームが正しくない場合や、肩関節や肩甲骨の可動域の差が大きいことが原因になります。

とは言っても、人それぞれ痛め方があるので、一概にコレ!とは言いにくいですが、私が見てきた中で、多かった5つのケースを例に出していきたいと思います。

1. インナーマッスル・肩甲下筋の炎症

ひとつ目は、肩のインナーマッスルである肩甲下筋(けんこうかきん)が炎症を起こすパターンです。

肩甲下筋(けんこうかきん)・肩甲骨の裏に張り付いている筋肉。肩関節を安定させ、主に腕を内側にひねる働きがある。

これはバーベルを下ろすとき、肘を横に強く張ってしまう人が陥りやすいパターンです。

肘を横に強く張ることで、過度に内旋の力(腕を内側にひねる力)が強くなり、その結果、肩甲下筋の炎症に繋がります。

2. インナーマッスル・棘上筋の炎症

ふたつ目は、棘上筋(きょくじょうきん)が炎症を起こすパターンです。

棘上筋(きょくじょうきん)・肩甲骨の上部についている筋肉。肩関節を安定させ、腕を横に開く働きがある。

肩には肩峰(けんぽう)という部位があります。

これは肩甲骨と鎖骨を結ぶ関節をつくっている部位ですが、バーベルを上げる過程で過度に内旋運動をしてしまうと、肩峰と上腕の骨(上腕骨頭)との間に棘上筋が挟まってしまい、痛みが出ます。

これは「インピンジメント症候群」とも呼ばれ、「日常生活では痛まないのにベンチプレスをするときだけ痛い」と症状を訴える人が多いです。

3. 上腕二頭筋(長頭)の腱炎

3つ目は、上腕二頭筋(二の腕の内側。力こぶになる筋肉)の長頭の腱炎です。

上腕二頭筋の長頭と肩甲骨とつながっている部分が長頭腱というのですが、この部分の炎症が発生する場合もあります。

上腕二頭筋(じょうわんにとうきん)・二の腕の内側、力こぶになる筋肉。

▼上腕二頭筋についてはこちらを参照

胸のアーチがきちんと作れていない人によく見られるパターンで、肩の前側の痛みとして現れてきます。

4. 肩鎖靭帯の炎症

4つ目は、肩鎖靭帯(肩鎖関節にある靭帯)の炎症です。

肩甲骨と鎖骨とをつなぐ靭帯が炎症を起こしてしまい、ひどくなると鎖骨の外側が前の方に浮いてきて、ぐっと奥に押し込むと痛みがあります。

ベンチプレスに限らず、柔道選手などでも多く見られるのですが、肩へのストレスが大きすぎることで起こります。

大抵の場合、高重量で多くのボリューム(回数やセット数)のトレーニングをしていることが原因ですので、回数やセット数を見直す必要があります。

5. 胸郭出口症候群(きょうかくでくちしょうこうぐん)

最後のパターンは「胸郭出口症候群」になっている場合です。

「胸郭出口」とは第一肋骨と鎖骨との間のことで、腕の神経の束が通っている部分です。

その近くにある首の筋肉(前斜角筋・中斜角筋)や小胸筋(大胸筋の下にあり、肩甲骨と肋骨を結ぶ。腕を動かすときに働く)が、疲労やストレスによって固くなり、腕の神経を圧迫することで起こるのが「胸郭出口症候群(きょうかくでくちしょうこうぐん)」です。

小胸筋(しょうきょうきん)・大胸筋の下にあり、肩甲骨と肋骨を結ぶ。腕を動かすときに働く

血行が悪くなるので、首の痛みのほか、腕や肩の前側や指がしびれたり、爪の内側が白っぽくなったりします。

トレーニングがハードすぎるか、リカバリーが十分でないなどの理由が考えられます。

さまざまな事例がありますが、肩に痛みが出るならば、まず確認してほしいのはフォームが正しいかどうか。

左右の肩で可動域の差が大きいと、無理なフォームになりがちです。また、トレーニングのやりすぎにも十分注意してください。

ベンチプレスで腕が先に疲れます。どうしたら解決しますか?

まずはフォームを見直してみましょう。

先に腕が疲れてしまう人の場合、アーチが正しく作れていない場合が多いです。このような人は、まずしっかりとアーチを意識したうえで、アーチの頂点が正しい位置にあるかも確認してください。

正しいアーチを作っているつもりでも、みぞおちの部分がアーチの頂点になっている方もいます。

正しいアーチの頂点はみぞおちの少し上です!

また、先天的な骨格の問題で、改善しようがないケースがあります。

逆鳩胸といいますか、胸郭がもともとペタンと平たい人がいます。

胸を張ってアーチをつくっても、腕の可動域が大きくなりすぎてしまって、上腕三頭筋に負荷がかかりやすいんですね。

こういった人は遺伝的なものなので、どうしようもありません。

徹底的に正しいフォームを意識して、胸を追い込むために補助種目を入れるなどするといいでしょう。

ベンチプレスを強化するためには、どういった補助種目を取り入れるといいですか?

ベンチプレスの重量を伸ばす場合、まずはナロウグリップとワイドグリップのベンチプレスですね。

それぞれスタンダードグリップよりも、拳ひとつ分、内側や外側を握ってください。

ナロウグリップは三角筋と上腕三頭筋、大胸筋の内側に特に有効で、ワイドグリップは大胸筋の外側に有効です。

それぞれ1セットずつでも取り入れてみてください。

インクラインとデクラインのベンチプレスも、余裕があればぜひやってみてほしいところです。

スポーツの動きを強化するという目的では、両手にダンベルを持ち寝転がって、胸を開く動作をする「ダンベルフライ」もおすすめです。

ベンチプレスとは違い、押し上げるだけではなくストレッチするような効果があります。

大胸筋の使い方を身体で感じ、覚えさせるために有効で、円盤投げなどのスポーツではマストのトレーニングです。

また、脇を締めて内側にねじる動作なので、野球のバッティングの際に使う筋肉の意識を高めるためにも役立つでしょう。

小指側を内側にひねりながら動かすと、実際の動作に近い感覚を得られます。(押し手側の動き)

ベンチはフラットのままでも、インクラインにしてもOKです。

ベンチプレスで片方だけ上がらなくなります。どうやって解決したらいいですか?コツはありますか?

1RMのMAXに挑戦するときや、セットの終わりの方になると、バーベルが片方だけ上がらないという人は初心者に多く見られますね。

これは肩関節や肩甲骨の動きに左右差が大きすぎることが原因で起こります。

左右差がある場合、疲れがたまってキツくなってくると、身体をねじって無理なフォームでバーベルを上げようとしがちです。

こうすると先ほど紹介したようなケガに繋がってしまう可能性があるので、無理には上げずに正しいフォームをキープできているところで切り上げて、インターバルを入れる代わりにセット数を増やす、1セットおこなった後、少し軽い重量に落としてもう1セットおこなう「ドロップセット」で追い込む、といった方法を取り入れるのがおすすめです。

また、テニスなど極端に利き手ばかりを使うようなスポーツをしていた人は、左右の筋力差が大きすぎて、フォームは正しいのに上がらない、ということがあるはずです。

こうした場合は、上がらない方を指1本分だけワイドに握る上がらないほうの足を強く蹴るように意識するなど、小さな調整で対応するといいでしょう!

たまに片方だけトレーニングするといった考えになる人もいますが、そちらよりはこういった方法が解決しやすいです。

実際に指導する際は、フォームを見て原因を探りながらアドバイスを加えるので、調整する際はお近くの専門家の方に実際にフォームを見てもらうようにしてください。

ベンチプレス100キロはどのくらいの期間で達成できますか?

ごく一般的な60キロ代の体型の人なら、週2日トレーニングをして、ケガさえなければだいたい3年ぐらいの期間で上げられるようになるでしょう。

あまり年齢も関係なく、以前55歳で標準体型の男性のトレーニングをお手伝いしたときには、5年かからず還暦前に上げられました。

100キロを目指す方は参考にされてください!

正しいフォームをマスターして記録を伸ばそう!

ここまで長々とベンチプレスについて解説しました。ここまで書いたことを実践できたら間違いなく正しいフォームになっているはずです。

あらゆるスポーツにとって有効なベンチプレス。しっかりとフォームを身につけ、安全に気をつけて取り組んでください!