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【「叱る」指導から「褒める」指導へ】「正しい褒め方」を身につけろ

こんにちは、スポーツメンタル上級指導士の石井です。

私が指導致します、指導者・保護者・ジュニア選手が同時に受講する講習会などで、「最近、褒めましたか?褒めた方は、挙手をお願いします」と質問をすると、指導者や保護者の多くの方が手を挙げられます。

それに対し、「最近、褒められましたか?」と質問すると、ジュニア選手、保護者・指導者共にほぼ手が挙がりません。

また、二人組になり、「お互いに良いところを3つ褒めてもらう」というプログラムをすると、褒められた全員が「嬉しい」「楽しい」「笑顔になった」と答えてくれます。しかし、それと同時に「褒めるのは難しかった」という答えも返ってきます

これらのことを考えると、褒める側と褒められる側とのギャップが見えてくると思います。

褒めているつもりでも、褒められていない。褒められた方は普段は「嫌味を言われた」や「適当なことを言っている」と受け取っているかもしれません。

先ほど「褒めるのは難しかった」という言葉があったように、褒め方からこのギャップが生まれていると考えられます。

「褒める」ということは前回の記事で紹介したように、「気づいて行動する」ことの大切なトレーニングのひとつだと私は考えております。他者のどんなことでも気づいて褒めることが重要です。

今回は褒めることの大切さや、正しい褒め方について紹介していきましょう。

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「褒める」ことの効果

褒めることの効果のひとつとして、褒められた方が自信を得られることが考えられます。

自分の取り組んでいる練習や行動が正しいのか間違っているのかは、指導者などから褒められることで正しいかどうか判断されます。

また、褒められると当然、嬉しく感じるはずです。ちょっとしたプレーが褒められたことで、より一層練習を頑張ったり、練習に集中して取り組んだりしてしまうものです。みなさんにも経験があると思います。

多くの場合、人間の成長は満足感や自己肯定感が高まらないと、次のステップには行けません。落ち込んでいるのに、頑張れる人はほとんどいません。

褒めるべき時を見逃さず、しっかり褒める

ただ、なんでもかんでも褒めればよいと言うわけではありません。正しいことをした時にだけ褒めればよいのです。しかし、褒めた方がよい効果が期待されますので、しっかりと褒めてほしいと思います。

褒めるところがない!?

「褒められた時」と「叱られた時」では、どちらがよいイメージを持つでしょうか?当然、褒められた方がよいイメージを作ります。さらに言えば、よいイメージを持つと、ポジティブな選手になります。

しかしながら、指導者からは「うちの選手には、褒めるところを見つけられないんですよね」と悲しい言葉をよく聞かれます。(個人的には、もう少し選手のことをしっかり見てほしいと思っていますが…..。)

では、どうすればよういでしょうか?

方法は、簡単です。

(1)仕事の役割分担を行い、仕事ができた時に褒める
(2)約束事を決めて、約束が守れた時に褒めてあげる。

このふたつは、どんなチームでもすぐに実行できると思います。

個人を褒める場合やチーム全体を褒めることがあると思いますが、どちらもこのふたつを活用して欲しいと考えています。

何を褒めるのか?

では少しレベルアップして具体的に「何を褒める」のか?といったところに踏み込んでいきましょう。

「何を褒めるのか」については、以下のようなことが考えられます。こちらは「Successful Coaching 3th Edition」(2004;Rainer Martens:スポーツ・コーチング学大森俊夫他監訳)を参考にしてまとめてみました。

プレーや行動の結果ではなく、過程を褒める

結果は、だれにもわかりません。野球でいくら強烈なバッティングをしたとしても、守備のファインプレーや、たまたま立っている所にボールが行ってしまいアウトなることもあります。逆になんてことのない凡打が、相手のミスでたまたま二塁打になってしまうこともあります。

この二塁打を褒めてしまえば、ラッキーを褒めています。強烈なバッティングしてもアウトになったことを叱ると、バッティングフォームを崩してしまう可能性があります。選手のどんなことを、どう強化するのかを考えると褒めることが決まってくると思います。

選手の達成した結果(成功)そのものよりも、それを達成するまでの努力を褒める

いくら練習をして努力をしても報われないこともあります。努力の結果も当然大事なのですが、全ては上手くいきません。

そこで選手の努力自体を褒めてあげましょう。

選手の努力を褒めることで、結果に不安を持つことなく挑戦ができると思いませんか?ありがちなのですが、練習での結果だけを褒めていると、失敗を恐れるようになり、競技に対する不安につながります。

試合の場面で技術が足りずに負けた場合には、これまでの努力を褒め、今後は技術を高めるための練習をするよう伝えるほうがよいでしょう。

大きな目標を達成する過程での小さな成功を褒める

大きな目標を達成することは、めったにありません。大きな目標を達成するためには、小さな目標の達成が必要です。

そして、小さな目標を褒めることが、大きな目標を達成するのにはとても重要です。

大きな目標達成だけを褒めていると、褒めるチャンスを逃がします。これでは、よい人間形成へのチャンスも逃していると言えるでしょう。

スポーツの技能だけでなく、社会的スキルを身につけたときにも選手を褒める

責任ある行動・スポーツマンシップ・チームワーク・協力的な態度も褒めるべきです。

スポーツ選手としての人生よりも、一般の人としての人生の方が長いです。選手のよりよい人間形成につなげるため、こちらも注目しましょう。

ある技能がきちんと体得されても、ときおりはその動きについて褒める

あるプレーは、出来て当たり前ではありません。プレーを褒める回数を下げないようにしましょう。

選手は、褒めてもらいたいものです。また、「Successful Coaching 3th Edition」の著者のMartensは、「選手は指導者の関心を引くためにわざとミスをしがちである」としています。

わざとミスをすれば、パフォーマンスは向上しません。常に選手に関心があると伝えるためにも、褒める回数を下げないようにしましょう。

選手が新しい技能に取り組んでいるとき、近い動きや正しい動きができたらすぐさま褒める

新しい技能を取り入れようと挑戦している選手がいるとき、正しい動きをした直後に「いいぞ!」と叫ぶことで、選手にとって充分な強化になります。

動きのフィードバックは早い方が良く、1時間後の練習が終了したミーティングの場で、たくさんの言葉で褒めるよりも効果があります。

技能の習熟が進んできたら、すぐに褒める必要性は薄れますが、ひとつ例外として、自信のない選手には正しい動きをした直後に褒める効果が高いといわれています。

選手がよい動きをしたときにだけ褒める

ある選手がミスを繰り返し、何をやってもうまくいかない日があります。そのときに無理やり褒めてしまうと、選手に誤解させてしまいその後言い訳をするようになります。

選手に共感的な理解はしますが、同情をしてはいけません。どんな選手にも「ついていない日」がある。それをコーチが理解するだけでも選手は救われます。

「叱る」指導から「褒める」指導へ

今回は褒めることの大切さについて述べてきました。

いろいろな褒め方がありますが、基本は結果を褒めるのではなく、努力した過程(プロセス)を褒めましょう。結果というのは、コントロールできませんが、努力をしている過程はコントロールできるからです。

褒めることによって自信や自己肯定感が高まり、やる気も高まります。是非、具体的に褒めて下さい。選手の表情や態度が変わってくると思います。

また、第三者を通じて間接的に褒めるという手法も効果的です。監督やコーチ、トレーナー、保護者とタッグを組んで下さい。

最後に「叱ったら駄目なんですか?褒めると、調子にのったり悪ふざけをしたりする選手がいます」という質問もよくあります。

当然、約束を破ったり、反社会的な行動したり、怪我などをしたりする危険性がある場合には、叱ったり指導をしたりする必要があります。なんでも褒めれば良いというわけありません。

ただ、褒める場面ではしっかり褒める。

こうすることで、自信を持たせ、やる気を高めたうえで練習をさせて下さい。褒めることで選手の表情が明るくなったり、自信がある態度でプレーをしたりする(下を向く選手が減ります)ようになります。これをきっかけにして、選手たちの言葉や会話までもポジティブになっていって欲しいと思います。

今日からでも、「叱る指導」はやめて「褒める指導」に変えましょう。

指導のスタイルを変えるときのアドバイス

これまで、叱ってばかりいて急に指導方法を変えることに躊躇する指導者もいると思います。そんな時には、「今日からは、メンタル的な指導を学んだので、褒める指導に変えます」などと選手たちに宣言してみましょう。そうすれば、選手たちも指導者の変化に選手もついていくことができます。

指導をすることはとても大変です。「どうすれば選手たちが、より良い成長をするのか」を意識して、考え、行動して、私たち専門家と一緒に頑張っていきましょう。