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【組織づくりの達人】元サッカー日本代表「岡田武史」監督に学ぶ「PM理論」とリーダーシップ


元サッカー日本代表岡田監督に学ぶ

こんにちは、スポーツメンタル指導士の河津です。

今回のお話は名将として知られる元サッカー日本代表監督「岡田武史」氏の発言や持論から「リーダーや組織作りに何が必要なのか?」を探っていきたいと思います。

岡田武史ってどんな人?


出典:By Tsutomu Takasu - World Cup Qualifiers, CC 表示 2.0,

サッカー日本代表の監督をされていたという過去は皆さんご存じと思います。むしろそれで有名になった方というイメージがあるのではないでしょうか?

監督としては日本代表を初のワールドカップ出場に導き、2010年南アフリカ大会では「ワールドカップベスト16」という輝かしい経歴を持っています。

もちろん選手時代も活躍されていて、日本代表の選手として国際Aマッチ(年齢制限のない代表チームの国際公式試合)に24試合出場しています。

このような監督時代の経歴や、現在はFC今治運営会社「株式会社今治.夢スポーツ」代表取締役として活躍されていることから、彼が組織づくり・組織運営に長けた優れたリーダーだということがわかります。

岡田監督に学ぶリーダーシップのポイント


岡田監督のリーダーシップのポイントとは?

岡田監督は、これまで著書やインタビューなどで、組織作りに必要なさまざまなリーダーシップの要素を述べています。それらは実はある有名なリーダーシップの理論でカテゴリー分けできます。

それが「PM理論」です。PとはPerformance(課題達成機能)MとはMaintenance(集団維持機能)、を表しており理想的なリーダーシップはこのどちらの要素も兼ね備えているというものです。

自身の発言から、岡田監督もPとMどちらの要素も重要視していたことがわかります。以下で岡田監督の実際の発言からその内容を解説していきましょう。

P(課題達成機能)に関する発言

「みなさんはいろんな成功の書とか読んで“目標設定って大事だ”と思っているでしょうが、今みなさんが思っている10倍、目標は大事です。目標はすべてを変えます。~中略~一番上の目標をポンと変えると、オセロのように全部が変わります。」

この発言は、チームがパフォーマンスを発揮するため、目標を設定することが非常に重要であるということを如実に表している発言です。では、目標があると何が変わるのか?どんな目標がいいのか?それを表しているのが以下の発言。

「私は常に目標を先に決めます。そこからその目標を達成するために何をすべきかを決めていきます。目標というのは手が届くか届かないかのところになければならない」

私のコラムでも以前目標設定について解説しましたが、この発言はそれを非常に端的に表したものです。詳しくは以前の記事をご覧ください。

▼参考記事

実際に組織を組み立てる時に重要。選手の起用法についての発言。

「自分の適性というのは徐々にわかってくるんですよ。教えてあげるというより、本人に適したポジションで使ってあげて、いいプレーができたら本人も気持ちがいい。その気持ちよさから自然に気付いてくる。」

今度は実際に組織を組み立てる時のヒントになりそうな発言。リーダーとして適材適所に人員を配置することは当然のこと、この発言はその先まで考えた一言です。

つまり適材適所である配置は当たり前。そこに配置された人員がそれに納得し、自ら進んでその仕事をこなせるようになるのかまで考えなければいけないということです。

なぜそこに起用されたか?それを1から10まで丁寧に教えてしまってはいわゆる「指示待ち」なメンバーになってしまいます。このような状態を心理学の用語で「コマ的感覚」と言います。

そうではなく、メンバー自身にそのことに気づいてもらう、そうすることで「自主的に動く」メンバーになってもらうということです。このような状態を心理学用語で「指し手(さして)的感覚」と言います。もちろんこれまでのスポーツ心理学の研究では、「コマ的感覚」の選手よりも「指し手的感覚」の選手の方がやる気が高いという結果がみられています。


コマではなく指し手の感覚を持たせる

もちろん、指し手的感覚をメンバーに持たせることの方がリーダーの負担や費やす時間は多くなることは想像できるかと思います。

M(集団の機能を円滑にする機能)に関する発言

ここまでの話は、多くの皆さんに納得いただけるものだと思います。そもそも、すでに知っているという方も多いのではないでしょうか?

しかし、「わかってるんだけど全然うまくいかない」という人が多いことでもあると思います。そこで大事になってくるのがMの機能。Mは集団維持機能という日本語訳がついているのですが、私の所見では集団維持というよりも、「集団の機能を円滑にする」という役割が大きいと思います。つまり、Mが土台にあって、Pが機能する!というイメージですね。

それでは実際の岡田監督の発言を見てみましょう。

まずはあいさつから!あいさつの重要性についての発言


まずはあいさつから

「気軽に声はかけるし必ずあいさつをする。それを続けていくうちに皆がするようになる。それだけで、相手がどういう人かっていうのはわかってくるんです。」

「コミュニケーションというのは何もベラベラ長く話すことではなくて、自分が相手のことを考えているのだということを伝えることが一番大事。そして> それはあいさつを交わすだけでも十分に伝わるんです。」

心理学の分野で「単純接触仮説」という仮説があります。「単純に接触する回数が増えればお互いの好意が増す」というシンプルな原理なのですがとても強力です。選手たちと信頼関係を築くうえでとても重要なことですね。意外とこれをおろそかにしてしまう方も多いのではないでしょうか?

すべては選手のやる気を引き出すため!!選手への態度についての発言

「起用法の不満を誰かに言うのは勝手だけど、ふらふら流されるのはよくない。一個人として冷静に分析して、それが俺とあってなくてもかまわない。お互いそれは話し合えばいいことで、逆らうことでも何でもない、と。僕は聴く耳を持っています。」

「選手は監督に認めてもらいたいと思っているもの。『俺のこと気にかけてくれているんだ』と感じさせることが、選手のやる気を引き出します。」

選手の話をきちんと聴くということは、お互いの信頼関係を構築する上では必要不可欠ですし、選手の「指し手的感覚」も育ちます。結果やる気が引き出せるということですね。

さらに「自分のことを見てくれてる」という感覚は、選手の承認欲求(誰かに認めてもらいたいという欲求)を満たすことができ、結果やる気につながりますし、自分がその他大勢の選手の一人としてではなく「自分」として明確な存在になっていることが意識されます。


自分の重要性がわかるほどやる気につながる

この自分の存在が明確になっている感覚というのは集団での活動にはとても重要で、いわゆる「社会的手抜き」の現象を防ぐことができます。「社会的手抜き」の現象とは、大勢で何かの課題を行う時、自分の貢献度が明確になっていない状態(つまり自分の存在や、役割、どのくらい役に立っているかがあいまいな状態)では、人は無意識的に手を抜いてしまうという現象です。

チームの明確な目標を立てる、適材適所に人員を配置する、これらが完璧になされていても結局最後はメンバーのやる気次第。リーダーの一番重要な役割はこのやる気を引き出すことに他なりません。岡田監督が選手との接し方で気遣っていることも、まさにそのためだということが発言から見てとれますね。

▼あわせて読みたい「リーダーシップ」の記事はこちら

<参考文献>
•岡田武史が語る,日本代表監督の仕事とは
   ITmediaビジネスオンライン,2009年,
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/0912/14/news010.html

•岡田監督信念のリーダーシップ~勝てる組織をどうつくるか~
   ダイヤモンド社,2008年,児玉 光雄 著

•最強の「リーダーシップ理論」集中講義
   日本実業出版社,2013年,小野 善生 著