close

無料会員登録

MUSTERに会員登録すると、あなたに合わせたコンテンツが
自動的に配信され、日々のスポーツに関する悩みを専門家に相談できます。

利用開始をもって《利用規約》
《プライバシーポリシー》
同意したものとみなします。

close

ログイン

パスワードを忘れた方はこちら

専門家がこたえる
スポーツメディア

MENU

イップスを克服するには周囲の協力が必要!治療法や対処法を解説


↑イップスの治療法・対処法を解説

こんにちは、スポーツメンタル指導士の河津です。

野球選手やテニス選手などに発症するスポーツ障害「イップス」。前回はイップスの症状や原因を解説しましたが、今回はイップスになりやすい人や、治療法・対処法などを解説していきます。

▼前回のおさらい

どんな人がイップスに発症しやすいのか?


↑イップスになりやすい選手とは?

どんなスポーツ選手がイップスのなりやすいのでしょうか?実はまだ良くはわかっていません。しかし、これまでの研究でわずかにイップス発症者に共通する特徴がみつかっています。

繊細で神経質な選手がなりやすい

まずは性格的な特徴から、日本においてイップスを発症したスポーツ選手の性格の傾向に関する研究では、不安や神経質傾向が高い人(つまりは細かくて心配性な人)が多いという結果が出ています。また、ほかの研究では、外交的で積極性が高く、意欲や自信がある人が多いと報告されています(西野ら,2006)。

なお欧米で行われた同様の研究では,イップスを発症した選手は完璧主義の傾向が高く,完璧主義はイップスの発症リスクを高める要素になると考えられております(Roberts et al.,2013)。

競技歴が長く、レベルの高いプレーヤーに多い

次に,技術レベルに関する特徴として,初心者や競技レベルの低いプレーヤーはイップスになる者が少なく,競技歴が長い人や競技レベル高い人に多いという調査結果も出ています( Smith et al., 2000,2003)。

上記のような特徴を持つ選手は、突如できなくなった動作がある場合、イップスを疑ってみてもいいのではないでしょうか?

イップスの対処法・誰にでもできる対処法


↑イップスを乗り越えるには?

イップス対処法として、まずは誰にでもできそうな簡単なアプローチを紹介します。

使う筋肉を変える

前回の記事でも説明したように、イップスの原因として考えられるのは特定の筋肉のオーバーユーズ(乱用)であるため、それぞれのスポーツでのスキルや使っている道具を変化させることで症状が改善したりや軽減する可能性があります。

例えば、ゴルファーの場合は、パターの握りを変えたり、長尺パターや特殊なグリップのパターに変更したりすることでイップスの改善や軽減がみられたという報告があります。

別のことを考える「デュアルタスク」を取り入れる

また、もうひとつの原因として、動作に対する過度な注意の高まりとの関係性が考えられているため、外的に注意を向けるためにパフォーマンス遂行時に“デュアルタスク”(二重課題)を行うことの有効性も挙げられております。

例えば、テニスプレーヤーであれば、"サーブの際にボールをトスしてから、ラケットに当たるまでの秒数を頭の中で数えながらサーブをしてみる"といった対処法です。

専門的が行う治療・対処法


↑専門家の行う治療・対処法とは?

次に、専門家がおこなうイップスの改善および対策方法についてです。この場合は医薬品などを使った方法とカウンセリングやメンタルトレーニングを使った心理学的な方法のふたつに分かれます。それらについて簡単に紹介しましょう。

医薬品などを使った方法

イップス発症の原因と関係があると言われている、ジストニアや不安障害に対して一般的に用いられる治療法(例えば、β遮断薬、抗不安薬、抗うつ剤等の投薬)がイップスにも効果的なのではないかと考えられています(永井,2014)。

しかし、近年の競技スポーツの世界では、ドーピングに関する規制が非常に厳しくなってきていることから、これらの臨床的な治療法には専門家に相談するなど気をつける必要があります。

カウンセリングやメンタルトレーニングを使った心理学的な方法

イップスに対する効果的な対処法として「認知行動療法」があり、そのなかでも、「逆制止法」、「エクスポージャー法」、「認知的構成法」の3つの技法の適用を推奨しています(※詳細に関しては文献を参照下さい 八木,2011)。

それに加えて、動作の動画フィードバックによるセルフモニタリングや認知的再構成に焦点を当てたメンタルトレーニング(賀川,2013)、またはカウンセリングなどの有効性も考えられています。

しかしながら、上述したイップスの改善および対策方法に関しては、それぞれのスポーツ選手の種目、競技環境・人格特性・競技歴・イップスの発症の経緯・症状等を考慮して行わなければいけません。そのため指導者または専門家と十分な検討をした上で、適切な対処法を取る必要があります

イップスの治療には周囲の協力が必要


↑周囲の協力が必要

最後に、イップスはこれまで当たり前にできていたパフォーマンスが突然できなくなり、その状態が長期的に続くため、精神的に非常追い込まれる運動障害です。そのため、周囲のサポート無しで改善することは困難となります。

イップスを発症したら、まず周囲の家族や指導者、チームメイト等の心を許せる人物に相談しましょう。そして、イップスを発症した選手の指導者や周囲の皆様方は、イップス発症者の語りに耳を傾け、しっかりと受け入れてあげて下さい。

<参考文献>

西野聡一郎,山本勝昭,織田憲嗣(2006)心因性投球動作失調(投球イップス)について
 の一考察.福岡大学スポーツ科学部紀要,18,pp.20-21.

Roberts, R., Rotheram, M., Maynard, I., Thomas, O., & Woodman, T.(2013)Perfectionism and the
 “yips”:An initial investigation.The Sport Psychologist,27(1),pp.53-61.

Smith, A. M., Malo, S. A., Laskowski, E. R., Sabick, M., Cooney III, W. P.,
 Finnie, S. B., & Kaufman, K.(2000)A multidisciplinary study of the ‘yips’
 phenomenon in golf.Sports Medicine,30(6),pp.423-437.

Smith, A. M., Adler, C. H., Crews, D., Wharen, R. E., Laskowski, E. R.,
 Barnes, K., ... & Sorenson, M. C.(2003)The ‘Yips’ in golf.Sports
 Medicine, 33(1),pp.13-31.

永井宏(2014)イップスの診断と治療(特集 スポーツとメンタルケア)
 --(アスリートにみられる精神疾患のメディカルケア).臨床スポーツ
 医学,31(10),pp.950-955.

八木孝彦(2011)イップスの心理学:その病態と心理療法.中央学院大
 学人間・自然論叢,32,pp.51-77.

賀川昌明(2013)イップス兆候を示す大学野球選手に対するメンタルト
 レーニングの効果:動画フィードバックによるセルフモニタリングと認
 知の再構成を中心に.メンタルトレーニング・ジャーナル,7,pp.35-44.