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野球やテニスなどで発症しやすい「イップス」の原因、「スランプ」との違いは?


イップスの症状や原因は?

こんにちは、河津です。

競技スポーツの経験者であれば、これまでに一度は「イップス」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。今回から2回に分けて、イップスの症状や原因などを説明したいと思います。

「最近理由はわからないがうまくパフォーマンスできない」という選手の方は、この記事が何かの参考になるかもしれません。

イップスとは


イップスの症状とは?

イップスとは、繰り返しの練習を通して、上達し意識せずともできるようになっていたはずの運動スキルが、さまざまな原因により突然うまくできなくなる運動障害のことです。

ここでいう、「繰り返しの練習を通して、上達し意識せずともできるようになっていたはずの運動スキル」とは、野球で言えばキャッチボールを行う際の投球スキルや、ゴルフで言えばパッティングを行う際のパッティングスキルなどが当てはまります。

イップスの症状は?

イップスの症状は、スポーツにおいて特定の動作をおこなった時に、特定の身体部位がけいれんや硬直などを起こすものとされています。

イップスの発症には、スポーツ選手がイップスの症状が現れている動作が嫌になり避けるようになる(例えば、投げることが嫌になり、キャッチボールや守備練習の回避してしまうなど)、さらにはその競技に参加すること自体が嫌になり引退してしまうなど、深刻なリスクがあるといわれています。

イップスは、「スランプ」や「あがり」とは違う


イップスは「スランプ」などと異なる

また、イップスと類似する現象として「スランプ」や「あがり」がありますが、イップスはこれらとは区別されています

それぞれの現象をわかりやすく説明すると、「スランプ」は今できることをさらに高度にしようとすることで、
* 普段は無意識でできることを意識して行おうとする
* 気づかないうちに疲労が蓄積する
* 病気になる
などが原因でパフォーマンスが低下するというものです。

また、「あがり」は競技の場面(特に試合や本番時)における過度な緊張によって落ち着きを失ってしまい、パフォーマンスが低下することです。

イップスは、スランプの時のように意識して動作をおこなうことや疲労・病気が原因ではなく、普段できていた一般的な動作が突如としてできなくなることで、それは試合や本番時に限らず、練習時にも出てきてしまいます。

イップスの原因

イップスの原因に関しては、未だに明確な答えは得られていませんが

  • 神経学的なものが原因ではないかという説
  • 不安や強迫観念などによる心理学的なものが原因ではないかという説

のふたつに分かれています。

神経学的な原因

イップスの神経学的な原因には、「局所性ジストニア」というものと関連があるのではないか、と言われています。

局所性ジストニアとは、「身体の特定部位においてけいれんや、捻転そして異常姿勢などをもたらす不随運動をその性質としてもつ神経障害」(Smith et al.2003)と定義されており、わかりやすく言うと指や腕などの身体の特定部位がけいれんしたり、意識せずに動いたりすることです。ピアニスト、外科医および歯科医などの指や手の細かい運動を繰り返しおこなう職種に現れやすいと言われています。


細かい指や腕の動作がイップスの原因という説

野球の投手を例にだすと、彼らは投球練習の際に、捕手のミットを目がけて同じ高さ、同じコースに何度も繰り返しボールを投げ込みます。つまり彼らもピアニストや外科医と同様に、指や腕の細かいコントロールが求められる動作を繰り返しおこなっていることになります。

以上のことから、競技によってはスポーツ選手にも局所性ジストニアが発症することは十分に考えられます。

心理学的な原因

心理学的なものが原因という意見では、イップスは「心因性動作失調(心理的な原因による動作の不調)」と呼ばれています。

例えば、指導者や先輩、チームメイトなどの周囲の評価や視線が気になってしまい、それが個々の選手の不安感や恐怖心を生み、それらのネガティブ感情がイップスの発症や悪化に関係しているという意見です。

具体的な例としては、ピッチャーが練習中に先輩から投球フォームを指摘され、それ以来「私の肘はどのように動いているだろうか?」「投げる時どこに力を入れるといいのだろうか?」といった,これまで何にも意識することなくできていたはずの動きに対して、過度に意識が向くことで、ボールをうまくコントロールできなくなり、投球の大部分が暴投になるといったことがあげられます。


過去のトラウマがイップスの原因に

または、試合中に大切な場面で大暴投をしてしまい、チームが負けてしまったなどの体験がトラウマ(心的外傷)となり、それ以来守備につくだけで「また暴投してしまうのではないか?」といった不安が高まったり、「次同じようなことが起きたら、レギュラーから外されてしまうのではないか」といった恐怖心が大きくなることで、普段通りに投球ができなくなってしまうということもあげられます。

イップスについてのイメージ

日本人の皆様は、イップスと聞くと主に野球選手のイップスをイメージする方が多いのではないでしょうか?

しかし、実は欧米諸国での“Yips”という用語に対する一般的なイメージは日本人の持つイメージとは異なります。

イップスの起源はゴルフから


もともとはゴルフから

もともと「イップス」という用語の起源はゴルフにあると言われております。

ゴルフの殿堂に名を連ねる世界的に有名なプロゴルファーのトミーアーマーの1967年の著書「TOMMY ARMOUR’S ABC’s OF GOLF」の中で、今までスムーズにパッティングをしていたゴルファーが、突然カップから1メートル前後のパッティンでさえ、手がけいれんしたり、硬直してしまい上手くカップインすることができないといった現象を“Yips”と呼んだのが初めだと言われています。

的当ての要素があるスポーツで多く見られる


アーチェリーなどでも見られる

その後、イップスの概念は次第に広がり野球やクリケット、ダーツ、アーチェリー、テニスなどのその他のスポーツにおいても、イップスという用語は用いられるようになってきました。

これらのスポーツに共通して言えることは、全てターゲット型(的当て型)のプレーがあるスポーツということです。これらのスポーツにおけるイップスの発症は、イップスが集中し、細かいコントロールが求められる行動において生じる運動現象である(McDaniel.1989)ということを考えれば、十分に納得できます。

次回記事では「イップスになりやすい選手」や「治療法・対処法」などを解説していきます。

▼次回記事はこちら

<参考文献>

McDaniel, K. D., Cummings, J. L., & Shain, S.(1989)The “yips” A focal dystonia of golfers.
 Neurology,39(2),pp.192-192.

Smith, A. M., Adler, C. H., Crews, D., Wharen, R. E., Laskowski, E. R.,
 Barnes, K., ... & Sorenson, M. C.(2003)The ‘Yips’ in golf.Sports
 Medicine, 33(1),pp.13-31.

Armour, T.(1967)Tommy Armour's ABC's of Golf.Simon and Schuster.

内田稔(209)野球選手におけるイップス尺度の作成.順天堂大学大学院スポーツ 健康科研
 究科修士論文.