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「上手いけど練習しないチームメイト」の扱い方【新キャプテン育成塾vol.5】

こんにちは、スポーツメンタルトレーニング指導士の河津です。

連載第5回の今回は、またピンポイントな話になるかと思うのですが、「部活動あるある」的なトピックをお届けします。
小中高大、どの年代でもあてはまると思うのですが、部活動に所属していた人なら共感できると思います。

ズバリ「競技は上手いけど、練習しないチームメイト」をキャプテンとしてどう扱ったらよいのだろう?というお話です。

「チームの中心として活躍できるくらいの技術を持っていながら、練習へのコミットがやたら低いメンバー」というと皆さんも誰かしらの顔が思い浮かぶのではないでしょうか?
戦力としては貴重なのですが、他の選手の練習に向き合う姿勢にも悪影響を及ぼしそうで、頭が痛いのが本音ではないかと思います。

今回はそんなメンバーに対してどのように対応すると良いのだろうか?ということを考えていきたいと思います。

▼前回記事はこちら

動機づけに関する有名な理論「自己決定理論」

今回の話はいわゆる「やる気」の問題になってくると思うのですが、「やる気」というキーワードはスポーツ心理学の分野では主に「動機づけ」という風に呼ばれています。

動機づけの理論で特に有名なものとして自己決定理論というものがあります。今回はこの理論に基づいて「練習しないうまい選手」に対する対処法を考えていきましょう。

まず、どんな理論であるかを以下で簡単に説明したいと思います。(ここでは動機づけをやる気と言い換えて説明します。)

「内発的やる気」と「外発的やる気」

人のやる気というものは、他の目的のために半ば強制的にさせられている「外発的やる気」と、自分自身がそれがしたくてたまらないからやっているという「内発的やる気」に分けられています。

やる気の強さという点で言えば、内発的のほうが外発的よりも高いとされています。これはイメージしやすいですよね?

たとえば
「母親に勉強しなかったら晩御飯抜きだからといってしぶしぶ勉強をしている子」
「勉強が楽しくて楽しくて仕方ない子」

どっちが長い時間勉強してられるか?どっちがより勉強の成果が出るか?といえばほとんどの場合、後者と考えるはずです。

やる気を持って勉強する子供

これまで行われてきたやる気の研究の結果からも、「内発的やる気」のほうが「外発的やる気」に比べ動機付けの効果が高いのはどうやら間違いないようです。

ただ、外発的やる気と内発的やる気を「0か1か」というふうにクリアに分けることはできないという考えがあって、その考えを理論で表現したのが、自己決定理論なんですね。

自己決定理論では、外発的なやる気をいくつかの段階に分けこんなふうに表現しています。

自己決定理論に基づくやる気の構造

つまり、「外発的やる気」の中でも少しずつやる気の強さが違っていて、その強さで4段階に分けることができるというのです。
そのやる気の強さが何によって決められているかというと、「自分でやるかどうかを決めている度合い」ということになります。

図の中の言葉をそのまま見れば感覚的にわかると思うのですが、一番左が完全にやらされている状態、つまり「監督やコーチにやれといわれているから練習をやっているだけ」という感じであり、自分でやるかどうかなんて考えてもいない状態です。

次が「やらないといけないな」と思っている状態。
練習が必要だなとは多少は思ってはいるけど、まだ「やらないといけない」と義務的に思っている。つまり、自分でやるかどうかは決めているけど少しネガティブな状態です。

その次が、さらに練習の重要性を感じていて、練習を「やることは必要だ」と前向きにとらえており、自分で進んでやることを決めているポジティブな状態です。

最後が、練習を行うことの重要性をはっきり理解している、自分のなかでそれをすることが優先事項にまでなっているという状態です。

外発的やる気の各段階は、それぞれ強さは違いますが、練習が別の目的のための手段となっているというところで共通しているのが特徴です。

つまり「勝つために」練習する、「うまくなるために」練習する、「叱られるのを回避するために」練習する、というように練習する理由の中に「~のために」がはいっているということです。

これが、内発的やる気になると練習をやること自体が目的になります。

リフティングの練習をするサッカー選手

わかりやすく言うと、例えばサッカー選手であれば、サッカーをしたすぎて、練習を「練習」としてではなく、ただただ「サッカーをする時間」というふうにとらえているような感じでしょうか。
このような選手は練習時間すらも「楽しくてしょうがない!」と感じることでしょう。

練習しないけどうまい選手をどうするか?

自己決定理論の説明が長くなってしまいましたが、ここからはこの理論に基づいて「練習しないけどうまい選手」を分析し、どのように対処すればよいか段階的に考えていきましょう。

具体例を挙げながら考えていきますので、自分のチームにいる実際の選手をイメージしながら読んでください。

あなたのチームに、上手いんだけど、あまり練習に来ない、来てもあまりやる気の見られないAという選手がいました。
やる気のない男性スポーツ選手

さあ、キャプテンのあなたは、この選手にやる気を出させるために、まず何をしますか?

(1)まずはその選手と話をしよう

はじめに、あなたはA君と話をしました。話をしていく中で、A君が「俺このチームの中で一番うまいと思う、なんかつまんないんだよね」ということを話してくれました。
力こぶを強調する男性スポーツ選手

ここでは、まず相手の本音を引き出せるかどうかがポイントです。ほとんどここで勝負が決まるといっても過言ではありません。

つまり、あなたがすべき最初のことは、その選手と密にコミュニケーションが取れるようになっておくことなのです。これはとても大切で難しいことなことですが、今回のメインのテーマではないので「コミュニケーションが取れている」と仮定して次に進みましょう。

▼相手の本音を引き出すコミュニケーションの記事はこちら

(2)その選手が自己決定理論のどの段階にいるか考えてみよう

A君は「俺このチームの中で一番うまいと思う、なんかつまんないんだよね」と言っています。
A君のこの言葉が本音であれば、A君は一体何のためにチームに所属しているのでしょうか?
考える男性スポーツ選手

ここで、A君の発言からわかることは、A君はおそらく競技をやること自体が目的の「内発的やる気」の状態にはない!ということです。

発言をもう少し深く考えると、A君は「チームの中で1番になるために」練習しているという、外発的やる気の3~4番目くらいの状態で、すでに「今チームでは一番になれている」と満足している状態なのかもしれません。

A君とコミュニケーションを密に取りながら、このようなA君の思いを明確にすることが必要です。

(3)具体的な対処法を考える

「チームで一番になる」という目的のために練習をしていたA君がその目標を達成してしまった。
あなたは、そのような状況でもう一度A君にやる気をだしてもらうための作戦を考えました。
腕に力を入れる男性スポーツ選手

今のA君のやる気の状況が分かれば、あとはそれにあった方法を考えるだけです。こういった例の場合,A君に新たな目標を見つけてもらうことが方法の一つとして考えられます。

「チームの中でA君のライバルになりそうな選手を挙げてみる」などが具体的な方法としては考えられますね。ポイントはあくまでA君が新たな目標を見つけることができるか?です。

ライバルを提示する以外にも、そのチーム内の状況などにより、やれることは変わってきます。具体的にどうするかは、皆さんのチームの状況を考えながら、監督・コーチとも相談して決めていけると良いですね。

最後に

今回取り上げたケースは、あくまで内容を理解してもらうための一例にすぎません。

実際の選手やチームの状況によっては、「練習しない理由が違う」「対処法が違う」ことも多々あると思います。もしよくわからないこと、相談したいことなどあれば、気軽にご相談下さい。

※(編集部注)現在システムリニューアルに伴いQ&A機能は一時受付停止中です。

▼次回記事はこちら