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専門家が教える「胃を大きくする」方法【体を大きくしたい選手・保護者へ】

アスリートにとって食事は、一つの楽しみであると同時に疲労回復や筋肉の増量など様々な目的を兼ねているものです。

ジュニアの時期では、特に体を大きくしたいという目的から食事に注力する選手や保護者の方も多いかと思います。

食事を嫌がる子供
ジュニア・学生アスリートの悩みの種「食べられない」

僕も日本滞在時は、小学生~成人までのアスリートの栄養サポートやトレーニングサポートをしていますが、ジュニアアスリートやその保護者から多くいただく質問の一つは、
「胃を大きくする方法を教えてください」
「どうしたらたくさん食べられるようになりますか?」
というものです。

そこで今回の記事では、そのような疑問を持っているジュニアアスリートやその保護者の方向けに記事を書いていきたいと思います。

「胃を大きくする」とは

そもそも、たくさん食べられるように「胃を大きくする」とは、科学的にどういうことなのでしょうか?

胃の容量

胃に内容物が何もないときの容積は約50mlです。

食べ物を食べて、お腹が張る状態での容積は約1.5~1.8Ⅼと言われています。

つまり胃の構造的には、満腹状態で約1.5~1.8Ⅼ程度の容積までは食べられるということです(もちろん個人差はあります)。

01_胃
胃の容積は1.5~1.8L

野球やラグビーなど体が大きければそれなりに有利なスポーツでは、1回の食事量を大量に食べなければいけないということを指導者が選手に課すことがよくあります。
選手は陰で文句を言いながらも、言われた通りに必死で全部食べようとします。中には、平気な顔で食べる選手もいますが、、、

高校進学を機に寮へ入り、上記のような荒療治で食べる量が増えたとか、胃が大きくなりましたなどを聞くこともあります。
これは、なぜかというと長期に渡る訓練のおかげで、ただ単に食べる量に「慣れた」のだと思います。

そもそも量を食べられない選手は、胃の容積が最大になる前に満腹を感じている可能性が高いです。
ですので、満腹を感じるタイミングを遅らせてあげると、単純に食べる量は増えていきます。

たくさん食べられるようになるために「胃を大きくする」というよりは、「食べられる量を多くする」と言ったほうが良いかもしれません。

食べられる量は胃の構造だけの問題ではない

胃の容積は個人差があったとしても1.5~1.8Ⅼとは言え、みんなが同じ量を食べているかというと、それは違います。

なぜなら、食べられる量に関わっている因子は、胃の構造だけではなく、血糖(エネルギー源)や脂肪酸(脂肪が分解されたときにできる代謝産物)のほかに、様々なホルモンが関わっているからです。

基本的に食欲とは、体内で足りていないエネルギーや栄養素を感知して、それらを補おうとする機構です。
もちろん、間食のようにエネルギーや栄養素は充足していても食べてしまうということもあります。これは、脳が「美味しさ」という報酬を得たいがための行為です。

不足したエネルギーや栄養素を補うために食事をすると、血液中の糖(血糖)濃度が上がり、脂肪酸濃度が下がります。通常、血糖値が上がることで満腹を感じますが、血糖値が上昇するには20~30分程度かかるため、ゆっくりよく噛んで食事をする選手は、食べる量が少なくなりがちです。

量が食べられる選手には早食いが多い

「量が食べられる選手には早食いが多い」。皆さんの周りにもいるよく食べる選手は、食べるスピードも早くないでしょうか?

02_食事をする男性アスリート
「大食い」には「早食い」が多い

実はこれには、血糖値の上昇スピード以外にも理由があります。

それは、グレリンというホルモンです。

グレリンは、摂食行動を促進させる強力なホルモンです。このホルモンは、空腹時に血中濃度が最も高くなります

食事を始めると、徐々にグレリンの血中濃度が低くなってきますが、早食いだと血中グレリン濃度が低下する前に、体内に大量の食べ物が入ってくるため、量が食べられるというわけです。

太っている選手はよく食べる

太っている選手がよく食べるのは当たり前だと思っているかもしれませんが、これにも理由があります。

それは食欲を抑制するホルモンであるレプチンという物質が原因だと考えられています。

太っている選手では、食欲を抑制するレプチンの血中濃度が高くなっているにも関わらず、食欲が低下するということがほとんどありません。

肥満者では、レプチンの効きが悪くなることで、食欲を抑える機構が少なくなり、よく食べられるのです。

食べられる量を増やすためには?

では、食べられる量を増やすためには、具体的にどのようなアプローチが必要なのでしょうか?

量を食べるために「早食い」をすることは正しいのか

「量を食べるために早食いをすることは正しいのか」と言われると、答えは「No」です。

ここまでの内容で、量を食べられる選手には早食いが多いと書いてきましたが、早食いをして量をたくさん食べることのデメリットもあります。

03_腹を抑える男性
早食いにはデメリットも

早食いをするということは、食物を通常よりも噛んでいないということです。

よく噛まれなかった食べ物が短時間にたくさん胃の中に入ってくると、胃では通常時よりも消化に時間がかかり、消化が全然進んでいない状態で練習に入れば、なおさら消化吸収率は低下してしまい、たくさん食べているのに栄養状態が悪い状態になってしまいます。

早食いが体作りにおいて逆効果になってしまうのです。

消化吸収率が低いかもしれない人の見分け方

消化吸収率が低いかもしれない人はどのような人でしょうか?

①たくさん食べるが、排便が多く、軟便である
②たくさん食べるが、どうしても体重が増えない
③胃下垂である

上記に挙げたような人は、消化吸収率が低くなっている可能性があります。

①と②は似ているように見えますが、①はある程度体つきが良い選手も当てはなります。食事方法を改善すれば、より効率的に体作りができる可能性を秘めています。

②は痩せている人がほとんどです。食事方法を改善すれば、体つきは変わってきます。

③も②と同様に痩せている人です。ただ、よく誤解されているのが、「胃下垂だから痩せる」と言われたりしますが、正確には「痩せているから胃下垂になりやすい」ということです。

胃下垂の場合は、食事の改善(栄養バランスの良い食事)だけではなく、心身共にストレスの少ない生活を送ったり、腹圧を正常に保てるようになるなど様々なアプローチが必要になります。

1度にたくさんの量を食べる代わりに

1度にたくさんの量を食べるような食事の指導は、上記に書いたようにお勧めはしません。
では、どのようなアプローチお勧めかというと

①1回の食事量は変えずに、間食をこまめに摂ることでエネルギー・栄養素を補充する
②食事にエネルギーの高い油を上手く活用する
③食事量は通常よりも増やすが、休憩を入れながら1~2時間程度で食べ終えるようにする

➀は朝食と昼食、昼食と夕食の間、場合によっては夕食後などにカロリーメイトやインゼリーのようなものでエネルギーや栄養素を補うようにします。

もちろん、おにぎりやパン、バナナなどでも大丈夫です。
おにぎり
間食を効果的に活用しよう

②は料理に油を上手く活用する方法で、揚げ物や炒め物など油を多く使用する料理を必ず入れるようにすることで、エネルギーアップを目指します。また、サラダなどに使用するドレッシング(この場合はノンオイルは不可)も効率的です。

➂は食事中にお腹に溜まってきたなあと感じたら、一旦箸を置き、数十分後に再度食べ始め、またお腹に溜まってきたなあと感じたら、一旦箸を置くということを繰り返します。

実際にこの方法で体重が増えたという選手も多いですが、食事時間が長くなるため食器洗いは選手自身にやってもらうことをお勧めします。

まとめ

選手にたくさんご飯を食べてもらうということは、選手の将来を考える指導者や保護者にとって重要な課題だと思います。

量を食べられない選手は、確かに体が大きくも強くもなりにくいかもしれませんが、体の機能に合わない量を食べさせることも、同様に選手の体にとってはマイナスです。

現在の選手の状態をしっかりとみて、選手一人ひとりにあった食事の仕方をサポートしてあげられると、選手の成長を最大限に引き出せるのではないでしょうか。

今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。

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