close

無料会員登録

MUSTERに会員登録すると、あなたに合わせたコンテンツが
自動的に配信され、日々のスポーツに関する悩みを専門家に相談できます。

利用開始をもって《利用規約》
《プライバシーポリシー》
同意したものとみなします。

close

ログイン

パスワードを忘れた方はこちら

専門家がこたえる
スポーツメディア

MENU

読んで救える命がある、「熱中症」の応急処置フローチャート

こんにちは。香川県でトレーニングジムの経営とトレーニングコーチをしております伊礼健太朗と申します。

2006〜2013年、香川県高等学校野球連盟理事として大会中の救護担当をしておりました。その間に、熱中症と疑われる選手、観客など、合計約400名の応急処置と予防対策に関わりました。

今回は、そこでの得られた経験、情報収集から熱中症の応急処置について説明いたします。

気温の高いなか、命に関わる「熱中症」は、いつ起こっても不思議ではありません。

しかし、スポーツ活動現場に医師やアスレティックトレーナーが付き添い、なおかつ救護設備が整っているケースは、非常に珍しいです。

したがって、心肺蘇生と同様に、熱中症の適切な応急処置を 「何時でも、どこでも、誰もが」できるようにしておく必要があります

熱中症が疑われる症状

熱中症は様々な症状が出現します。また、熱中症とは別の症状のケースもあります。
診断は医師でなければできません。しかし、症状と重症度の目安は知っておく必要があります。

熱中症の重症度は「日本救急医学会熱中症診療ガイドライン2015」に示されています熱中症分類を参考にして下さい。(下図参照)

あくまでも診療用の分類で、スポーツ現場では症状は流動的でⅠ度、Ⅱ度と順に起こるとは限りません

また、外傷や試合敗戦などをきっかけに、突然に起こるケースも少なくありません。

筋けいれんも部分的なものから広範囲や複数部位のものまで、頭痛の強さも倦怠感・虚脱感の状態も様々です。

また、過換気(過呼吸)を併発することも多々見られます。

熱中症と疑われる場合の応急処置

熱中症と疑われる場合の応急処置は、下の図のフローチャートの手順を参考にして下さい。

バイタルチェック

熱中症を疑う(筋けいれんや頭痛、吐き気、めまいなど)の症状が選手に見えた場合、まず体温、発汗の有無、意識レベルのチェックをおこないます。

また可能であれば既往症(これまでにかかったことのある病気)平常体温(普段の体温)を聞き取り確認します。

1.体温測定

腋下式体温計と鼓膜温(耳式)体温計の2種類を準備しておきます。

腋下を冷却した場合、鼓膜温の計測が必要になります。

また、あらかじめ2種類の温度計の測定値の差を調べておいて下さい。さらに、直腸温に比べると腋下温・鼓膜温は低い値を示し、バラツキがあることも考慮しなければなりません。

熱中症は体温が上昇します。40℃以上の場合もあり、その場合はすぐに救急車を要請します。

また、平常体温が35℃台と低い場合は、39℃でも救急車を要請します。(炎天下にいた場合や運動直後の場合は体温が上昇し、37℃台の体温は平常の状態です。体温をモニタリングしながら様子を見て下さい。)

2.発汗の有無を確認

体温が上昇しているにもかかわらず、皮膚が乾燥し無発汗の時は救急車を要請します。

3.意識レベルの確認

意識レベルのチェックは、ジャパンコーマスケール(JCS)を元に確認します。

  • 「お名前を教えて下さい。」
  • 「生年月日を教えて下さい。」
  • 「どこで何をしていましたか?」

言えない、間違う、考え込む場合は、意識障害ですので救急車を要請します。

4.既往症(きおうしょう)

心疾患、脳疾患など既往症(過去の病気)がある場合。また既往症の答えに迷う場合は救急車を要請します。

バイタルチェック後、救急車を要請する場合のまとめ

1.意識障害がある
2.体温40℃以上
3.無発汗(汗がなく、乾燥している)
4.心疾患、脳疾患などの既往症(過去の病気)がある

バイタルチェックをおこない、救急車を要請の要・不要を判断した場合も、以下のように応急処置は続きます。

水分補給・電解質補給

スポーツドリンクまたは経口補水液で水分補給、電解質補給をおこないます。

起き上がれない場合は、嘔吐に注意しながら回復体位(横向きで寝たまま)でストローを使います。

水分補給ができない場合や嘔吐する場合は、救急車を要請します。

冷却処置

氷水が入ったアイスバスがあれば使いますが、無い場合がほとんどなので、氷水やアイスパックで頸部(首)、腋下部(わきの下)、鼠蹊部(脚の付け根)を冷却します。

また、霧吹きで水を体表に吹き付け、風をあてる方法もあります。

この時、体温をモニタリングし、38.0℃(直腸温39.0℃)で中断します。(これは冷却を中断した後も体温の低下が起こり、低体温症になることを防止するためです。)

応急処置後

上記のような応急処置後、救急車を要請した場合、救急車が到着すればそのまま搬送となります。

また要請しなかった場合、経過を観察し、「応急処置の後も症状が改善されない」というときに医療機関での診療が必要になります。

特に筋けいれんやめまいがあった場合は医療機関でに診療を推奨します

応急処置で症状が改善された場合も、時間が経ってから再び悪化することがありますので、その場合は医療機関での受診を指示してください。

読んで学ぶことで助かる命がある

今回はスポーツの現場での熱中症の対処法をお話ししました。

いざ目の前で熱中症の疑いがある選手が出た場合、パニックになってしまうかもしれません。しかし今回紹介したようなフローチャートを確認しておけばどのように対処すべきか、すぐに確認することができます。

9月までは暑さも残り、目の前で熱中症で倒れる人が出る可能性も否定できません。

お近くの方と共有して安全なスポーツ環境を作っていただければと思います。

▼熱中症関連の記事