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【東大・深代教授が語る】「運動が得意・苦手」は遺伝しない

親と顔や背格好が似るのと同じように、「運動が得意・苦手」も遺伝するものだと、私たちは何の根拠もなく思い込んでいる。

しかし、東京大学大学院・総合文化研究科の深代教授はそれを明確に否定する。

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【東大・深代教授に聞く】「運動が苦手」は才能のせい?
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「運動が得意・苦手」は遺伝しない

ボール投げがなかなかできないわが子に、「私も運動が苦手だったから、あなたもきっとできないよ」と言ってしまう親は少なくありません。

逆に「俺はできたのに、なぜできないんだ」と怒ったりあきれたりする親もいますね。

しかし「運動が得意・苦手」、つまり「巧みさ」は遺伝しません

前回、前々回と読んでいただければわかる通り、親は「運動をたくさんしてきたから得意」「運動をしてこなかったから苦手」というだけの話。

ボール投げも他のスポーツも、練習をして後天的に獲得するものですから、間違った知識で子どもの可能性にフタをしてしまうのは絶対にやめてください

もっと言えば、記憶をするのに年齢制限はありませんから、大人になった女性でもボール投げを覚えることはできます。

遺伝するのは「骨格・筋肉の割合」

さて、遺伝的要因が運動とまったく関係しないかというと、そうではありません。

遺伝するもののひとつが、骨格です。

骨の伸びる最大値は、遺伝によって決まっていますが、たとえば栄養状態が悪いと、最大値に到達する前に身長は止まってしまいます

「親の身長が低いから」と諦めてしまうのはもったいないこと。

十分な睡眠・運動・栄養などを確保して、最大値に近づける努力はできるのです。

筋肉の種類と割合も遺伝します

人間の身体についている筋肉が、「速筋」と「遅筋」とに分類されるのは知っていますか?

速筋は一瞬で大きな力を生み出す筋肉で、遅筋は出力は小さいながらも長時間動かすことのできる筋肉です。

短距離選手と長距離選手の身体を比べてみると、その違いがわかります。

短距離選手は筋骨隆々で、長距離選手はほっそりとした体型をしていますよね。

ふたつの筋肉の割合は遺伝によって決まり、個人差があります。

その割合は基本的に変えることはできませんが、だからといって諦めてしまうことはありません。トレーニングによって、速筋の大きさを変えることができるからです。

速筋を鍛えていれば肥大してきて、短距離選手のような身体をつくることができます。

遅筋は鍛えても大きくはなりませんが、長距離走のトレーニングを続けると、速筋が小さく萎縮して、相対的に遅筋の多い身体にすることができます。

オリンピックのように、肉体(=筋肉)を究極のレベルまでつくりあげた人同士で争うと、最後はこうした遺伝子レベルの差がメダルの色を分けることもあります。

ただ、一般的なレベルでは、後天的なトレーニング次第でどうにでもなることがほとんどです

器用さは日本人の武器

一般的に日本人は、黒人や白人と比べて骨格が小さいと言われています。

コンタクトプレーのあるスポーツでは身体が小さいのは不利とされることが多いですが、日本人は身体を自分の思うままにコントロールすることが得意な民族です。

それはもともと「動きを巧みにする」ことをいとわない土壌があるからです。

たとえば、外国人にとって箸を使うのはとても難しいことです。

食べ物を挟むことはもちろん、刺す・切る・すくうといったさまざまな動きをたった2本の棒だけでできてしまう民族は、世界広しといえどもなかなかいません。

欧米では歴史的に「刺すためのフォーク、切るためのナイフ」と、用途に応じて道具を細分化してきました。

日本ではそれを、自分たちが器用になることでまかなってきたのです。

こんな日本人に向いているスポーツをひとつあげるとすれば、器械体操です。小柄な方が身体をコントロールしやすいというのは大前提。

「動きを洗練させる」という器械体操の特性が、日本人が長い時間をかけて培ってきた文化とマッチしているからです。

もちろん器械体操だけでなく、他のスポーツでも日本人の「器用さ」は活きてくるでしょう。

体格に恵まれないことを嘆くのではなく、逆にそれを武器にすれば、世界と対等に渡り合うことができるのです。

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