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【東大・深代教授が語る】運動も勉強も「脳の記憶」

運動も勉強もできる人になるためには、どうすればいいのか。

前回に続き、今回は脳の働きに触れながら、一章のキーワード「やれば必ずできるようになる」の理由を解説する。

▼前回の記事はこちら

運動も勉強も「脳の記憶」

運動とは、脳の記憶である。

こう書くと、「勉強は頭でするもの」「運動は身体でするもの」と考えている人にとっては、ピンとこないかもしれません。

しかし、実際には勉強も運動も、どちらも脳の働きによるものです。

身体は脳の支配下にあります。

運動をするときには筋肉を動かさなければいけませんが、筋肉は脳の命令がなければ動きません。※脊髄反射(熱い鍋に触ってしまったとき、脳が判断する前に、脊髄の命令によって手を引っ込めるなど)は除く

スポーツは、身体だけではできないということです。

脳を使いながら運動をすることはわかりましたね。ここで、記憶のシステムを簡単に説明しましょう。

脳は何百億個もの神経細胞でできています。

「歩く」とか「投げる」といった運動をしたり、勉強で暗記をしたりするとき、脳内の神経細胞に電気信号が通ります。

信号が何度も同じルートを通っていると、次第に道ができます。

脳内に道をつくることを脳・神経パターンの生成といいますが、これが「記憶する」ということです。

一章で、利き手と非利き手の例をあげました。

利き手の場合は、すでに脳内に道ができている(=動かし方を記憶している)ので、箸も使うことができるし、字も書くことができます。

非利き手は、これまでほとんど使ってこなかった(=脳内に道が開拓されていない)ため、上手く動かせませんが、練習をして(=何度も電気信号を流して)脳に新たに道をつくれば、箸も鉛筆も扱えるようになるわけです。

箸や鉛筆の使い方はもちろん、自転車の乗り方、ボールの投げ方、掛け算の九九にいたるまで、記憶のシステムは基本的に同じです。

動きの大きさや、出力先の部位が違うだけ。

運動を覚えるときにだけ「身体で覚える」という言い方をしますが、この時の身体は「脳」のことです。

筋肉には記憶能力はありません。

勉強も運動も、脳が記憶しているのです。

ちなみに「運動神経がいい・悪い」というのは俗語です。

運動神経は、脳からの命令を筋肉へ伝える過程にある神経の名称で、誰にでも必ずあります。

電気信号が通るだけのパーツなので、運動神経自体に優劣はないのです。

運動を上達させるための7つのコツ

さて、脳に道をつくりやすくするためには、やみくもに動いているだけでは効率が悪いです。

運動を上達させるためのコツを7つ、ご紹介します。

1.反復練習

上手い人のイメージを思い浮かべながら、とにかく何度も繰り返しましょう。
上で書いた通り、道を開拓するためには、電気信号が何度も同じ場所を通る必要があります。

2.練習の目的を考える

「なぜこの練習が必要なのか」を考えましょう。
この動きを習得したい、というモチベーションにつながります。

3.たまには休んでみる

どうしても行き詰ってしまったら、思い切って少し休んでみましょう。
練習から離れている間、脳が記憶を整理するうちに、どうしてもできなかったことができるようになっていることがあります。

4.成功したら続けてみる

できるようになったらそこでやめるのではなく、しばらく続けてみましょう。
脳内の道が、よりしっかりしたものになります。

5.練習していなくてもイメージしてみる

実際に身体を動かしていなくても、その動きをイメージすると、練習しているときと同じような電気信号が脳内で発生します。
スポーツ観戦など、上手い人の動きを観察することも大切です。

6.いい動きは応用してみる

たとえば、投球動作とテニスのサーブは、手先の動きが少し違うだけで、とてもよく似ています。
ボールを上手く投げられるようになったら、サーブも上手く打てるようになるはずです。

7.時折見直す

投球ならシャドウピッチングをしたり、録画してみたりして、自分の動きを客観的に評価してみましょう。
クセはどうしても出てきてしまうものですが、早めに修正することができます。

勉強と運動を両立するには「質問しよう」

運動や勉強をして、脳内に電気信号がたくさん通っている状態を、「脳が活性化している」と表現します。

どちらもできる人になるためには、日ごろから脳をフルに使って、活性化させておく必要があります。

しかし現代では、身体を動かす機会が減ってきています。

子どもはテレビゲームをしたり、親に勉強ばかりさせられていたりして、外で遊ぶことは珍しくなりました。

テレビゲームは一見脳を使っているように感じますが、実際には脳のごく一部分が使われているだけで、他の部分はほとんど働いていません。

運動をしていなくて身体が疲れていないので、寝ようと思ってもすぐに寝付けないし、朝の寝覚めもよくない。

脳は健康な状態なら自ら活性化しようとしているのですが、こういった生活が続くと劣化してしまいます。

逆に運動ばかりしていると、先に身体がへとへとに疲れてしまいます。

朝早く起きて部活動の朝練、放課後も真っ暗になるまで練習をしていたら、家に帰っても勉強をする元気が残っていないという人は多いでしょう。

勉強も運動と同じで、やらなければできるようにはなりません。

そういう人には、学校の授業で質問することをおすすめします。

「エピソード記憶」という脳のシステムを活用した方法です。

たとえば「蚊取り線香のにおいを嗅ぐと、小さいころおばあちゃんの家へ遊びに行った記憶がつぶさによみがえってくる」というような経験は、誰しも一度はしたことがありますよね。

「蚊取り線香のにおい」と「おばあちゃんの家であれをした・これをした」というできごとが紐づけられていて、においをきっかけに、関連した記憶が思い出されるわけです。

普段と違う刺激によって脳内の道が一気に確立されて、紐づけられた記憶を事細かに思い出すことができる。

これがエピソード記憶の仕組みです。

授業中に一人だけ手を挙げて質問するのは緊張しますし、的外れな質問をしてしまうと恥ずかしいですね。

ある程度理解していないと質問ができないので、勉強もします。

ぼうっと右から左に授業を聞き流しているだけでは、なかなか脳内に道はできません。

質問するという刺激を与えることによって、授業の内容が記憶されやすく、また思い出しやすくなります。

ぜひ試してみてくださいね。

次は「遺伝すること・しないこと」がテーマです。

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